2007会計年度農業予算の概要 ● 米 国


2007年度予算案は前年度減

 ジョハンズ米農務長官は2月6日、米政府が議会に提出する2007会計年度(2006年10月〜2007年9月)予算教書のうち、米国農務省(USDA)所管部分の予算内容について公表した。2007年度予算案は前年度より約30億ドル少ない約930億ドル(10兆8,810億円:1ドル=117円)となっている。

 同長官は、「農業予算は、農業者に重要な資源を提供する一方、子孫に赤字を継承することのないよう努めなければならない。また、米国の食料供給、栄養と健康の改善、環境保全・自然の滋養、農業生産者のための経済機会の増進を図るものである」と述べた。ただし、2007年農業法への移行期に該当することもあり、2006年予算教書に比べると顕著な改革の意図の薄い前年継承型の予算となっている。畜産関連予算における主要事項は以下のとおり。


鳥インフルエンザ対策

 高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の海外からのまん延を防止するための、各州との協力により実施されるサーベイランスおよび、防止・対策に関する能力の改善のために、前年度比で(緊急対策費を除く)6,600万ドル(77億2,200万円)増の8,200万ドル(95億9,400万円)が計上された。なお、USDAは政府を挙げて、海外の鳥インフルエンザまん延防止を目的とした世界的な取り組みに参加する。


食品・農産物防衛イニシアティブ

 米国における食品供給と農業生産における安全保証のため、USDAの複数の関係部局に予算として3億2,200万ドル(377億円)が計上され、政府全体では5億4,000万ドル(632億円)が措置された。緊急事態への迅速な対応のための食品緊急対応ネットワークや、動植物の疾病に対応する地域診断ネットワークの構築、病原体の迅速検査法や家畜用ワクチンの開発などの試験研究費、サーベイランスの強化などが、2004年から開始されている本イニシアティブにおける予算の強化項目である。


商品金融公社(CCC)

 災害緊急予算の支出の減少や各作物価格の改善により、2007年の支出見込みは前年を20億ドル下回る190億ドル(2兆2,230億円)になると見込んでいる。畜産関係では、乳製品の買入れ支出の最小化が掲げられている。


環境保全対策

 環境保全経費として、環境改善計画(EQUIP)には追加的な2,300万エーカ−(9.3万平方キロメートル)のための予算が、土壌保全留保計画(CRP)には21億ドル(2,457億円)、保全保証計画(CSP)には60カ所の河川の流域対策として8,300万ドル(97億1,100万円)がそれぞれ計上された。


◎米農務長官、日本による米国産牛肉の輸入停止への経済制裁は不要

 ジョハンズ米農務長官は2月3日、全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)の定期大会での講演において、出席者からの質問に答え、日本への米国産牛肉の輸出再開のための経済制裁は不要との考えを示した。

 同長官は、(1)今回の停止は一時的なものであること、(2)USDAが実施している調査については慎重にかつ迅速に行っていること、(3)日米双方の作業が必要であるので期限を示すことはできないが、日本の迅速な対応を希望していること、(4)制裁は反撃を生みこの繰り返しとなるので避けるべきであることなどを述べた。

 また、時間を戻すことはできず、問題を起こしてしまった以上は、原因の究明と再発防止により正常な貿易に戻すことが肝要であるとした。


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