2005年のEUの牛肉輸入量は前年比6.0%増の29万4千トン


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 牛肉輸入量は前年比6.0%増の29万4千トン ● ● ●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)が公表した2005年におけるEU25カ国の牛肉輸入量は、前年比6.0%増の29万4千トンとかなりの程度増加した。2004年も同15.4%増加しており、伸び率は鈍化したものの牛肉輸入の増加基調が続いている。MLCは、2005年の牛肉輸入が増加した要因の一つとして、ドイツ、イタリアおよびオランダを中心として冷蔵牛肉の輸入が増加したことを挙げており、同年の冷蔵牛肉の割合は輸入量全体の57%を占める16万9千トンに達したとしている。

 また、同年の牛肉加工品(塩漬肉を含む)の輸入量は前年比3.8%減の11万トンと逆に減少した。EUの中ではイギリスが最大の牛肉加工品の輸入国であるが、2005年は前年比9.3%減の6万6千トンとかなりの程度減少した。

EUの牛肉輸入量の推移

資料:MLC


● ● ● 南米三カ国からの輸入が全体の9割を占める ● ● ●

 牛肉の輸入状況を国別に見ると、最も輸入量が多いブラジル産が、2005年10月に口蹄疫が発生したことにより、輸出が一部禁止されたにもかかわらず前年比4.5%増の17万8千トンと増加した。また、第二位のアルゼンチンが同7.9%増の6万7千トン、第三位のウルグアイが同25.7%増の1万9千トンといずれも増加傾向を維持している。なお、これら南米の三カ国で全体の9割を占める構造となっている。

  MLCは、2006年のブラジル産牛肉の輸入について、口蹄疫の再発防止への取り組みの進展が予想されることなどから、2005年を上回る可能性があると予測している。

EUの牛肉輸入量の推移

資料:MLC


● ● ● イギリス、増加する南米産牛肉輸入に懸念 ● ● ●

 イギリス全国牛肉協会(NBA)は、低価格のブラジル産牛肉の輸入増大に懸念を示している。また、南米産牛肉輸入の必要性を認めつつも、安価なブラジル産牛肉がEU域内産の牛肉価格の低落を招くことになると警告している。さらにNBAは、肉用牛生産農家も、生産と切り離した単一の直接支払い(デカップリング)による牛肉生産の縮小や、輸出補助金の削減に関する政策に疑問を投げかけているとしている。

  なお、同国の牛肉流通業者によると、同国内で現在使用されている牛肉の1割を既にブラジル産およびアルゼンチン産が占めているとされる。


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