フィードロット協会、政府の燃料政策を再非難 ● 豪 州


エタノール原料穀物購入で消費税 を免除

 肉牛の穀物肥育生産者で組織する豪州フィードロット協会(ALFA)は6月13日、穀物を原料とするエタノール生産に対する連邦政府の政策について、再度、反対との立場を表明した。また、農業者で組織する全国農業者連盟(NFF)が、連邦政府のエタノール生産など代替燃料に対する支援に対して歓迎の立場を表明したことについて、非常に期待はずれとのコメントを併せて発表した。先にALFAは、連邦政府による穀物を原料とするエタノール利用の義務化について反対の主張を強めていくと表明していた。

  ALFAのフォスター会長は声明の中で、「エタノールなど代替燃料の原料として穀物を購入する際に消費税を免除するとの法案が議会を通過したことは、豪州の畜産業にとって非常に不利益なものとなり、また、政府の干渉は市場を崩壊させ、最終的に牛肉産業にとって多くの費用負担となる」と述べ、連邦政府の関与が牛肉産業の発展に大きな障害となることを強く強調した。


飼料価格の高騰は経営に悪影響

 主要な穀物生産地であるニューサウスウェールズ(NSW)州では、今年に入り不安定な気候により州の62%の地域が干ばつと認定されており、農家では干ばつによる影響が心配されている。このため、飼料穀物生産への影響も想定される中で、エタノール生産による家畜飼料価格への波及が懸念されている。

  ALFAによると、肉牛生産農家は干ばつへの対処法は向上しているが、連邦政府が進めているエタノール利用の義務化により飼料価格が高騰し、経営に影響が及ぶと指摘している。また、フィードロット経営についても、飼料価格の高騰による影響は避けられないとみている。

  連邦政府は現在、高騰するガソリン価格への対処策として、10%程度のエタノールの混入を義務化すべきとの方針を打ち出しており、肉畜生産の盛んなクイーンズランド州を中心に、ソルガムなど家畜用飼料穀物がエタノールの原料として利用され始めている。


NFFの立場を強く非難

 同会長は、また、NFFが、エタノールなど代替燃料製造者に対する連邦政府の支援を支持するとの立場を表明したことについて、NFFは、牛肉産業が国内農業にどれだけ寄与しているかということを認識していないと批判した。また、エタノール生産に対する政府の支援が無期限に続くならば、牛肉産業の地位は低下するとして、NFFの立場を強く非難した。

  ALFAによると、NFF内部では、エタノール原料生産に関連する部門が連邦政府の政策を強く支持しているとし、これが肉牛産業にとって大きな障害になっているとしている。

  連邦政府によるエタノールなど代替燃料に対する支援は、2011年まで継続される予定である。


◎ 国内最大のフィードロット建設を認可

 NSW州政府は5月末、同州南部の穀倉地帯であるリベリナ地域で申請されていた国内最大となる16万頭規模のフィードロットについて、建設を認可したことを発表した。州政府に提出された計画では、総工費6千万豪ドル(52億2千万円:1豪ドル=87円)、総面積1,200ヘクタール、最大収容可能頭数16万頭を予定している。

  ただし、州政府は認可条件として、当初収容可能頭数を8万頭としており、その後の頭数の拡大に対しては第三者機関による環境調査を義務付けている。

  現在、豪州のフィードロットは、単一施設としてはNSW州にある収容可能頭数7万5千頭規模のものが最大となっており、今回の認可で、一気に2倍を超える収容規模の施設が誕生することになる。



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