USDA、飲用規格生乳の定義の改正案を公表


無脂乳固形分の基準などに加え たんぱく質基準の導入を提案

 米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)は5月16日、連邦ミルク・マーケティング・オーダー制度(FMMO)のクラスI(飲用乳向け)区分における「飲用乳製品」の定義の改正案を公表した。

  FMMOは、全米で11あるマーケティング・オーダー(市場地域)において、それぞれ取引される飲用規格生乳について用途別区分ごとに最低取引価格を設定し、生乳取引業者に対して生産者に最低取引価格を上回るプール乳価での支払いを義務付ける制度である。この結果、生産者は保証された乳価の下で計画的な経営ができ、消費者は良質な飲用乳の安定的な供給を得ることが期待される。

  現行のFMMOにおけるクラスT区分は、飲用に仕向けられることを目的とし、「飲用乳製品」について乳脂肪の含有率が9%未満、かつ、無脂乳固形分重量が6.5%以上の乳製品(液体または冷凍)と規定している。

 今回の改正案は、飲用乳製品の定義を見直し、(1)純たんぱく質および無脂乳固形分含有量の算定に際し、すべての乳成分を含めることとし、現在の乳脂肪の含有率が9%未満、かつ、6.5%以上との無脂乳固形分基準に加え、2.25%以上の純たんぱく質基準を導入すること、(2)最終製品として20%以上のヨーグルトまたはケフィヤを含む飲用発酵乳製品、および食事の代替となるよう企画され健康食品産業に販売される乳製品(乳幼児用、あるいは栄養食品)を「飲用乳製品」の定義から除外すること、(3)「飲用乳製品」と定義される練乳などに設けられていた密封された容器のものを除外するとの条件を廃止すること−を提案している。

  当該改正案は、同月17日付けの官報に公表され、本年7月17日までパブリックコメントが公募される。


今回改正案は関係団体および 企業による意見を考慮

 今回の改正作業は、2003年6月に、約2万戸の酪農家を会員とし、乳製品の製造も行う酪農協であるDairy Farmers of America(DFA)よりUSDAに対して出されたクラスTの定義の再検討の要請に基づき開始されたものである。DFAは、無脂乳固形分含有量を6.5%未満とする規定のために多くの乳飲料がクラスUに分類され、生産者が飲用乳の高い利益を市場と共有するとの本来のFMMOの目的を満たしていない状況にあるため、飲用として消費されるすべての乳飲料製品をクラスT製品として分類することを求めている。

  今回の決定は、改正作業の一環として2005年6月20〜23日にペンシルベニア州のピッツバーグで開催された、クラスIに区分される製品の規格の改正に関する公聴会における関係団体や企業から行われた提案に関する議論の結果などを考慮している。数多くの提案がなされた中で、2.25%以上の純たんぱく質を含む製品をすべてクラスI区分に分類する基準を導入することは、全国生乳生産者連盟(NMPF)の案を、また、ヨーグルトを含む乳飲料をクラスT区分から除外することについては、乳製品メーカーであるダノン社やゼネラル・ミルズ社の案を基礎としている。さらに、乳製品を含む栄養食品の開発・製造メーカーであるNovartis社からは、6.5%の無脂乳固形分基準を取り除き、かつ、栄養食品向けの乳製品をクラスI区分から除外すること、さらに、健康食品メーカーであるHormel Foods社からは、健康管理産業向けに製造される健康飲料についてクラスI区分から除外する提案などが行われていた。


生乳生産者団体は今回改正案を 歓迎

 今回の改正案が最終規則となれば、これまでクラスUなどに区分されていた低炭水化物乳製品も、従来の飲用規格であるクラスTと同じ価格設定で区分されることとなる。このため、NMPFは5月18日、低炭水化物乳製品の原料乳もより価格の高いクラスTで区分されることが保証されることにより、農家収入の損失を防ぐことになるとし、今回の規則改正を歓迎するコメントを公表した。


元のページに戻る