WTO香港閣僚会議を終えての各国の反応


 2005年12月13日〜18日、香港でWTO第6回閣僚会議が開催された。今回のラウンドはドーハ開発計画(DDA)と称され、単にバランスの取れた世界貿易ルールの確立にとどまらず、後発開発途上国(LDC)を含む途上国の開発が大きなテーマとなっている。

 会議では、2006年中のラウンド終結に向け、2004年8月1日に一般理事会で採択された枠組み合意以降これまでに収れんの見られた事項を中心に、交渉の現状を取りまとめる形で閣僚宣言が採択された。

 農業に関しては、(1)すべての形態の輸出補助金を2013年までに撤廃すること、(2)国内支持(総合AMSおよび貿易わい曲的国内支持全体)の削減については、3階層に分けて高階層ほど大きく削減する定率削減(わが国はいずれも中位階層)とすること、(3)市場アクセスについては、4階層の関税削減方式とするとともに、関連するすべての要素を考慮に入れて重要品目の扱いに合意する必要性を認識することなどが合意された。

 また、LDCに対しては、2008年までにまたは遅くとも実施期間の始まりまでにすべての産品に対して無税無枠の市場アクセスを供与すること、ただし、この時点で困難に直面する加盟国は、LDC原産の97%以上の産品に対する無税無枠の市場アクセスを供与することが合意された。

 なお、開発途上国に関心の高い綿花については、先進国の輸出補助金の2006年までの撤廃、実施期間の開始時からLDC無税無枠の供与、一般品目よりも野心的な貿易わい曲的国内支持の削減を行うこととされた。

 今後の日程に関しては、モダリティーを遅くとも2006年4月30日までに確立し、各国は包括的な譲許表案を遅くとも7月31日までに提出することが合意されている。

 今回採択された「香港閣僚宣言」についての各国の反応はさまざまであるが、農業に関しては、輸出補助金の撤廃期限が2013年とされたこと、LDC諸国向け無税無枠の合意などを評価するとし、総じて「前進」とみられている。しかし、市場アクセス分野の交渉が進展しなかったことから、今後4月末の期限に向け、各国ともこの分野でより一層の努力を傾注する必要があるとの指摘は多い。(市場アクセス分野における主要国・グループ提案の比較については、別表参照)

 なお、中川農林水産大臣は、本閣僚宣言に対し、「わが国としては、食料輸入国の主張ができる限り反映されたモダリティが確立されるよう、最大限の努力を傾注してまいりたい」と語っている。

 以下、海外駐在員がまとめた主要国の反応について紹介する。

WTO農業交渉:市場アクセス分野におけるG10・米・EUおよびG20提案の主な項目比較


北 米

1.米国

最終的な成功には農業分野の市場アクセスがかなめ

 ポートマン米国通商代表は12月19日、12月13日から同月18日まで香港で開催されたWTO第6回閣僚会議について、ドーハ開発計画は世界的な貿易システムを活性化するのみならず世界経済に刺激を与え実際に数百万人を貧困から救済する千載一遇の機会であるとし、欧州連合が輸出補助金の撤廃期限を明示することに合意したなど同会議では一定の前進が得られたものの、最終的な成否のかなめとなる農業分野での市場アクセスの拡大のために世界的なより一層の努力が必要であるとの見方を示した。

 これまでの数週間、自分は市場アクセスのうち特に農業分野について議論するとともに、今次ラウンドにおいて成功を収めるためのその重要性について議論してきた。そして今、その意を新たにしている。世界中の同僚と今週を過ごしてきた中で、非農業分野で協調し得るよう、農業分野において関税が引き下げられるという新たな市場アクセス機会の存在を国々に知らしめることのわれわれにとっての絶対的な必要性について繰り返し聞いてきた。工業製品、サービスなどの非農業分野でも進展を見ることが重要であることは事実であるが、このラウンドの成功をともに見るためには、農業における行き詰まりを解かなければならない。米国は政治的に困難な決断をする用意をして1週間前に香港にやってきた。われわれは自らの野心を十分に示してきたし、今後もそうするであろう。われわれは市場開放や補助金の削減における真の進展を得るために包括的な努力を継続していく。

 解決策すらない中、われわれは今週農業分野の市場アクセスに期待をし、ついに輸出補助金を2013年までに撤廃するとともに、これらの補助金の多くをそれまでに適切になくしていくことに合意した。これは特筆に値する。米国を含め多くの国が期限を2010年とすることを希望したが、私は新年に入ってからもこの問題について議論を継続するよりも、明確な予見し得る期限を得たことのほうがより重要であったと考える。欧州連合が最終的に期限を定めることを進んで行ったことに敬意を表したい。

 商業の自由な流れを通じた成長を促進するようルールに準拠した多国間貿易システムをより良い形にしていくとの意見の一致を持ち続けることがWTOのあるべき姿と考える。

 ドーハラウンドを終了させるために必要であるさらなる努力と政治的決意の二つのことを来年末までに終わらせたい。今週少なくとも困難を成し遂げ得ることを証明したので、この仕事を完了させるために必要な政治的決意を奮い起こすとともに、2006年の期限を守るために努力を倍増する必要がある。

2.カナダ

カナダにとって閣僚宣言は目的を達成する可能性を与えるもの

 ピーターソンカナダ国際貿易大臣ならびにミッチェル農業食料大臣は12月18日、閣僚宣言はカナダに重要な分野において目的を達成する可能性を与えるものである。多くのカナダの提案や考えが特に非農産品市場アクセスおよび農業国内支持について閣僚宣言には反映されている。また、重要品目および国家貿易企業の取り扱いについてもカナダの目標に合致するものとなっていることを歓迎する。香港閣僚会議では、非農産品市場アクセス、サービス、農業輸出補助金、LDC無税無枠について進展があったものの、多くのやるべきことが残されている。われわれは2006年末までに交渉を終結させるよう、他のWTO加盟国や国内関係者と積極的に作業を進めていくとの声明を公表した。


欧 州

 今回の世界貿易機関(WTO)香港閣僚会議における合意事項で、EUの農業関係者が最も関心を示す事項が「輸出補助金の撤廃期限の明示」である。EUの政府・農業団体の反応はこの点に対するコメントが多くを占める。

欧州委員会の反応

 マンデルソン委員(通商担当)は昨年12月18日、「今回の輸出補助金の撤廃期限設定に関する決定がWTO農業交渉の前進を促すものである」との声明を発表した。EUが昨年10月28日、農業交渉の枠組みとなる新たな提案を行ったにもかかわらず、米国などから内容が不十分であるとの批判を受けていたところであり、EUとしても農業交渉の前進に積極的に寄与できたことをアピールするものとなっている。また、輸出補助金の撤廃期限について、2010年とする案を拒否して2013年に先送りすることができたことも成果に挙げている。一方で、今回の合意ではほかの輸出国も同様の補助金改革を行うことが受け入れられたとして、EUの輸出補助金と同等の規律が課せられるよう要求している。

 フィッシャー・ボエル委員(農業・農村開発担当)も同日、輸出補助金の撤廃期限である2013年が現行の共通農業政策(CAP)改革の実施期間と呼応するものであり喜ばしいとの声明を発表した。しかしながら、この点を除けば今回の合意はEUにとっての「クリスマスプレゼント」になるものではなく、「(2013年までの輸出補助金の撤廃の)実質的な(substantial)部分を実施期間の前半に実現」との合意の「実質的な」の定義が、EU市場の混乱や、さらなる改革を必要とするようであれば、大幅な削減は受け入れられないと警戒している。

農業国フランスの反応


 EU最大の農業国であるフランスのシラク大統領は昨年12月18日、今回の香港閣僚会議での合意が世界全体の発展と雇用の促進につながると歓迎しながらも、農業分野では、米国、豪州、カナダなどの輸出競争にかかる補助金も同等の撤廃を行うべきであると強調している。また、2006年早々にジュネーブで開催が予定される農業分野での交渉の結果が、EUの交渉役であるマンデルソン委員の交渉マンデートと2013年まで合意されている安定したCAP予算の双方とに矛盾しないものとなるよう警戒を呼びかけている。

農業団体の反応

 欧州農業組織委員会/欧州農業共同組合委員会(COPA/COGECA)は昨年12月18日、香港閣僚会合における合意は不完全で一方的なものであるとの声明を発表した。米国などの輸出競争にかかる補助金も同等の撤廃を行わなければ、今回の合意で利益を得るのは開発途上国ではなく、これら輸出国であるとし、EUと同等の時期の設定と削減がなされるべきとしている。そして、2013年までの輸出補助金の段階的な削減についても、生産者価格や市場に大きな影響を与えないものとなるよう要求していくとしている。また、市場アクセス分野に関しては、昨年10月28日のEU新提案を1インチも超えることはできないとしている。

輸出補助金の現状

 現在、EUにおける農産物の輸出補助金の約3分の2は砂糖と乳製品が占めている。このうち砂糖については、すでに昨年11月の農相理事会において大幅な制度改革を行うことで合意に達しており、今後、輸出量の大幅な減少などに伴い輸出補助金も減少していくことが見込まれる。

 したがって、本年4月30日までに決定されることとなっているモダリティにおいて、輸出補助金の2013年までの削減方法がどのように盛り込まれるかによるが、今回の合意が、輸出補助金を多用しているEUの牛乳・乳製品分野に特に大きな影響を与える可能性があると思われる。

EUの農産物における輸出補助金


オセアニア

豪州、NZ政府とも、交渉は前進と評価

 2005年12月に香港で行われた世界貿易機関(WTO)閣僚会議の結果について、豪州やニュージーランド(NZ)の政府や産業界は、輸出補助金を2013年までに撤廃することや関税削減方式などの貿易自由化ルール(モダリティ)の確立の合意期限を2006年4月末までとすることの合意がなされたことなどから、一応「交渉は前進した」と評価した。しかし、具体的な市場参入機会の拡大の中身については、何ら決定されなかったことから、残された交渉期間に市場の一層の自由化に向け、引き続き努力していくとしている。

農産物輸出補助金撤廃期限の決定などを歓迎

○豪州政府の反応

 ベール貿易相は、これまで行われたWTO交渉がいずれも失敗に終わったため、香港会議には「失敗の選択肢はない」との決意で望み、結果的にいくつかの成果を得たことから、交渉は進展したと評価している。

 ベール貿易相が示した今回の交渉の具体的な成果は以下のとおりであるが、今後も引き続き、輸出機会の拡大に努力していくとしている。

(1)輸出補助金の撤廃期限の決定

 これは、豪州農業従事者が50年間にわたり望んできたものであり、「すべての輸出補助金が2013年までに撤廃されることは大きな成果」と述べている。

(2)2006年4月末までにモダリティを確立することの合意

 「豪州の農業従事者にとって市場参入機会の改善は優先事項の一つであり、この期限は必ず守られなければならない」と述べ、その重要性を強調している。

(3)豪州小麦輸出公社(AWB)の一元輸出体制の堅持

 ベール貿易相によれば、AWBは政府から財政的支援を受けておらず、EUが廃止を主張している貿易わい曲的な団体に当てはまらないとしている。

(4)後発開発途上国(LDC)に対し、市場参入時の無税無枠制度の授与

 WTOのメンバーの中で多数を占めるLDCを支援し、貧困に苦しむLDCの人々の助けとなると評価。

○NZ政府の反応

 NZのサットン貿易相も豪州政府と同様に、交渉の成果として、輸出補助金の撤廃期限の決定やモダリティの確立期限の決定、LDCへの配慮を挙げ、不完全ながらも交渉は前進したと評価し、今後の交渉の進展に期待している。

民間団体の反応:市場参入機会の改善を要望

○豪州全国農民連盟

 豪州の農業者団体である全国農民連盟(NFF)は、連邦政府と同様な輸出補助金の撤廃期限の決定などを評価するものの、EUやG10グループが市場参入機会の改善を行わなかったことに失望すると述べ、今後はこの点での改善を要求していくとしている。

○豪州酪農協議会(ADIC)

 豪州の酪農団体の上部組織で政策的意思決定の役割を負う豪州酪農協議会(ADIC)によると、EU輸出補助金の撤廃よりも重要なことは、市場参入機会の拡大と国内支持の削減であると述べた。ADICの説明によると、輸出補助金の撤廃問題は、EUや米国が余剰乳製品を持ち、それを国際市場に放出している間は重要な意味を持っていた。しかし、需要が供給を上回っている現状では、豪州にとっては、市場参入問題の方が重要であると指摘している。障害を設けている国や地域として、EUや日本、韓国、米国を挙げている。ADICでは、市場参入問題が解決されれば、10〜15%の乳製品価格の上昇が見込まれ、豪州の乳業界にとって大きな利益になることから、「この6カ月の交渉がわれわれの試練になるが実りも大きい」と述べ、今後の交渉の中で要求実現に向け努力していくとしている。


アジア

LDC諸国への開発パッケージ提示

 昨年12月に香港で開催されたWTO閣僚会議では本ラウンドの大きなテーマの一つである途上国、特にLDC(後発開発途上国)諸国を中心に、これらの国々に対し、どう要望に答えるかの議論がなされており、香港会議では開発パッケージの提示など、この分野での一定の進展が見られたとされている。

 現在、アセアン諸国におけるWTO加盟状況としては、従来未加盟であった3カ国のうちカンボジアが2004年10月13日付けで正式加盟したが、ベトナムおよびラオスは依然申請手続き中である。したがってWTO加盟国のうちLDCに該当する国はミャンマー、カンボジアの2国で、非加盟LDC国としてはラオスが挙げられる。

既加盟国の反応


 香港閣僚宣言などを受けた各国の反応は次のとおり。

○LDC国(カンボジア、ミャンマー)

 カンボジアでは輸出のおよそ80%が主に米国向けなどの衣料品で占められ、人口の80%程度を稲作農家が占めると言われている。フン・セン首相は「国際的・地域的経済統合によって利益を享受できるかどうかは、カンボジア自身が輸出競争力強化の努力を達成できるかどうかに懸かっている」とし、さらなる自助努力の必要性を表明した。LDC諸国への開発パッケージ提示に関しては、会合に出席した商務省担当者によると「途上国にとって歴史的成功である」として特に貿易に関する先進国からの技術協力に期待感を表明したものの、主要輸出品である衣料品を取り巻く情勢については直接的にこれ以上の改善は期待できないとしている。なお主要輸出農産物である米については、国内精米所の未整備などから現在、その多くが未精米のまま近隣国へ輸出されていることから、農村開発銀行による精米工場への融資制度により精米機能の向上を図り輸出競争力向上につなげるとされている。

 ミャンマーはGATT時からの加盟国で、95年1月1日付けでWTOに移行加盟しており、主な輸出農産品は木材と、近年は各種インフラの整ったヤンゴン周辺での養殖水産物(エビなど)に力を入れている。香港会議に対する国内の反応はわずかで、むしろクアラルンプールで開催されたアセアンプラス3会議(アセアン域内の動向)に注目が集まっている。同国商務相のコメントによると、「ミャンマーはWTOのプログラムによる農業国内生産振興策および輸出補助の削減を支持する」としている。

○その他

 タイはG20およびケアンズグループの一員として、「本会合では少なくとも輸出補助金の撤廃期限が明示されたことが成果である」とのコメントが副首相兼商務相のソムキッド氏によって表明された。

 途上国に対する特別扱いに関心が高いG33の調停役であるインドネシアは、会議に先立って貿易相が途上国向け特定品目(SP:米、コーン、大豆、砂糖)の指定要望を表明していたほか、インドネシア農民連合(HKTI)は2013年までの輸出補助金撤廃に関する合意を評価するとし、これによる自国産農産品の国際競争力向上に期待感を表明した。

 フィリピンはインドネシア同様、途上国で構成されるG20、G33および農産物輸出国で構成されるケアンズグループに属し、同国農務長官は香港会議を「90%の達成率で成功」と評した。また同農務次官は「LDC諸国への開発に関する提案はフィリピンと競合する品目が少なく、脅威ではない。残された課題は特定品目(SP)の選定のみ」との旨を表明している。

加盟準備中の各国の状況


 ベトナムおよびラオスはオブザーバーとして香港会議に出席。ベトナムはWTO加盟に向けて作業部会を積み重ね、昨年9月15日に第10回会合を開催、各国との2国間協議を重ねているが米国をはじめ数カ国との協議が未了。現在、関税法、企業法、投資法など関連国内法整備を進めている。 同国貿易省次官はこの席で、加盟予定時期を2006年6月頃とほのめかしたものの、具体的な予定の明示は(ベトナム政府にとって)重圧となるため出来ないと表明。

 ラオスは98年2月にWTO加盟のための作業部会を結成、第1回会合を2004年10月28日開催しており、グローサー議長に「加盟に先立って、新規加盟国には要求されるインフラ整備など到達すべき課題が多く存在する」との指摘を受けている。


南 米

1.ブラジル

WTO交渉の成果は地味だが無意味ではない

 アモリン外相は12月18日香港において、「WTO交渉の成果は地味だが無意味ではない」と話し、かつ「輸出補助全面撤廃の期限を決定し、LDCに対する開発パッケージを導入したこと(ただしどちらも開発途上国の期待を下回っている)により、第6回WTO閣僚会議における農業部門の交渉が完全に停滞することを回避した。これによって交渉プロセスにおける一定の信頼性を保つことが可能となった。目覚しい成果ではないがポジティブであり、これは開発途上国の団結により大きな進展ではないが重要なステップを記す文書となって反映された」と語った。

 なお、会議の当初から市場アクセスに対する期待が低かったため、ブラジルとインドがリードするG20の閣僚は、輸出補助金撤廃の期限を2010年にすることを優先に力を注いだとも話している。

 また外相は、開発途上国に対する市場解放に強い抵抗をみせていたEUが交渉に応じる姿勢を示すことが重要であることを強調するとともに、今回の交渉において市場アクセスに関する進展は見られなかったが、次の閣僚会議が開催される4月までに新たな交渉が進められる可能性が開けたとも話した。

 一方、2013年以降(注:原文そのまま)、LDCに対する市場開放は全面的ではなく97%とされ、それによってLDCが競争力を有する製品が除外される可能性が生じるとの懸念を示した。

2.チリ

悲観的な予測にもかかわらず、有望な締めくくり

 チリ農業省は12月20日、「先週香港で開催された第6回WTO閣僚会議は、当初の悲観的予想にもかかわらず、2001年にカタールで発足したDDAの交渉を完結させるための作業計画が策定されたことにより有望な締めくくりとなった」と報じた。

 同省農業政策・調査局(ODEPA)の局長によれば、「閣僚会議宣言にうたわれているとおり、WTO加盟149カ国は2006年に交渉を完結させる約束を再確認し、そのため2006年上半期における野心的な活動計画が作成された。この計画内における農業交渉については“モダリティ”、すなわち関税削減および市場にゆがみを発生させる国内支持の削減フォーミュラが定められ、その期限は遅くとも2006年4月までと決定された。また譲許表については、遅くとも2006年7月31日までに提出されなければならない」とのことである。(以下、結果概要を述べているので省略)。

3.アルゼンチン

閣僚会議の成果を評価するも、今後の南南貿易の展開に憂慮

 アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)は12月27日、以下のプレスリリースを公表した。

 カンポス長官は、「第6回WTO閣僚会議において、輸出補助金の撤廃期限が2013年と決定されたことはポジティブにとらえなければいけない」と話した。

 なぜなら、12月13〜18日に香港で開催された会議の成果は最小限であったが、WTO交渉の新たな挫折が回避され、また農業問題においては加盟150カ国間(注:原文そのまま)で達成された合意により、来年上半期に確立されるべきモダリティに向け、より良いシナリオが設定されたためである。

 また長官は、達成された成果について楽観的態度を示している。交渉の新たな挫折は多国間主義にとって大きな痛手となり、その結果自由貿易にゆがみをもたらす政策を採っている通商ブロックが強化される危険を伴っていたと考えられるからである。

 さらに長官は「当初アルゼンチンとG20は輸出補助金撤廃の最終期限を2010年で要求したが、2013年になったことはポジティブである。この補助金は、先進国が自国農業に与えている3,000億ドル(35兆7,000億円:1ドル=119円)以上の助成金の総額のうち100億ドル(1兆1,900億円)にすぎないが、実際、最も大きなゆがみを発生させるものである」と強調した。

 一方、フォーミュラ内およびフォーミュラ外の要求が農業協定のテキストにおいて現行を維持したにもかかわらず、先進国の市場アクセスの改善に関する明らかな前進がなかったことについて懸念を表明した。

 特別かつ異なる扱い(S&D)の二つのメカニズム(特別品目および特別セーフガードの新メカニズム)に関して、既存の制限およびそれらのメカニズムが準拠する規律について進ちょくがなかったとについて長官は、「特別セーフガードの新メカニズムは、途上国間にこの措置による争いを発生させ、南南貿易に影響を与える可能性があることから、われわれが最も懸念する措置である。この新セーフガードでは量のみならず価格についてもトリガーを設けることが閣僚宣言において受容されたことにより、われわれの懸念はさらに増大した」と付け加えた。

 現在このメカニズムは、先進国で一定の産品−アメリカの乳製品、EUの牛肉など−について実施されている。しかし中国、インドなどの開発途上国は、すべての産品の輸入についてこの手段を適用することを認めるよう要求している。この要求が実現すれば、これら重要な市場に対するアルゼンチンの輸出は、重大な損害を被ることになるだろう。潜在的な市場が開発途上国であるアルゼンチンのような国にとって、実に憂慮すべきものである。

 と以上のようにコメントしており、G20内でも意見の相違があることをうかがわせる内容となっている。


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