2005年のドイツの牛肉生産量、かなりの減少見込み


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2005年の牛肉生産量、前年比9.1%減の予測 ● ● ●

 ドイツはEU主要国の中でもフランスに次ぐ牛肉生産国であると同時に、域内外に対する最大の牛肉輸出国である。

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、2005年のドイツの牛肉生産量は、前年比9.1%減の122万5千トンとかなりの程度減少する見込みである。2005年上半期(1〜6月)の雄牛および去勢牛のと畜頭数は前年同期比で14%減少したが、この要因として、共通農業政策(CAP)改革で導入された「生産と切り離した単一の直接支払い(デカップリング)」の実施による牛飼養頭数の減少が進みつつあることが挙げられる。また、フランス、イギリス、スペインなどほかの主要牛肉生産国と異なり、飼養されている牛の8割以上が乳用種由来であることから、同改革によるバターおよび脱脂粉乳の介入価格の段階的な引下げから、小規模を中心とした酪農家戸数および乳用牛飼養頭数の減少傾向が強まっていることも一因と考えられる。

 ZMPは、こうした傾向は年後半も続くことから、通年の雄牛および去勢牛のと畜頭数は、前年比10%減の17万頭になると予測している。

ドイツの牛肉需給の推移

資料:ZMP


● ● ● 2005年上半期の牛肉輸出量、前年同期比2割の減少 ● ● ●

 一方、2005年上半期の牛肉輸出量は、前年同期比2割減の15万トンと大幅に減少した。これは、主要輸出先のイタリア、オランダ、フランス、デンマークおよびロシアにおいて、ブラジルなど他の輸出国との競争の激化により大きく減少したためで、ZMPは、前段のCAP改革の影響と併せて、輸出の不振が牛肉の国内生産を減少させる要因の一つになっているとしている。

 逆に、国内生産の減少を補うため牛肉の輸入量は、輸入が最も多いオランダからは前年同期比29.5%増の2万5千トン、第2位の輸入相手先であるアルゼンチンからは同18.0%増の1万7千トンと増加した。


● ● ● 牛肉消費は前年同水準を維持 ● ● ●

 2004年におけるドイツの1人当たりの年間牛肉消費量は、前年同の12.8キログラムを維持した。同国の1人当たりの牛肉消費量は、2000年11月に初めてのBSE陽性牛が確認されたことをはじめとし、その後、BSE陽性牛の増加により2001年の10.0キログラムと底を打った後、さまざまな関連対策が功を奏したことから2002年以降は上昇傾向にある。

 ドイツの1人当たりの牛肉消費量はEU15カ国の平均を下回り、主要国の中でも最低水準で推移している。2004年の同国における1人当たりの食肉全体の消費に占める牛肉の割合は、95年から4.5ポイント低下して15.1%となった。これもEU15カ国の中では最低値となっている。

EU主要国の1人当たりの牛肉消費量

資料:EUROSTAT


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