ブラジルとアルゼンチンにおける大豆・トウモロコシ生産の動き


◇絵でみる需給動向◇

● ● ● ブラジル大豆作付面積は減少するが収量は前年度を上回る見込み ● ● ●

 米国農務省(USDA)の発表によると、ブラジルの2005/06年度における大豆作付面積は7年ぶりの減少が見込まれている。その要因としては、(1)輸送費と生産費の上昇にもかかわらずブラジル通貨であるレアルが直近1年間に対米ドル20%高であること、(2)昨年の干ばつによる不作で生産者の資金収支が悪化しており作付けのための資金が不十分であること、(3)大豆生産者価格が昨年8月から25%、7月から48%も大幅に下落していること−などが挙げられている。

 作付けしなかった土地には、トウモロコシ、サトウキビの作付けや休耕地にするとのことであるが、主要な南部生産州では、国内で生産されるトウモロコシのほとんどが自国消費され、輸出向け大豆のように為替レートや国際価格といった要因に影響を受けないことから、トウモロコシを作付けするとのことであり、トウモロコシの作付面積、生産量はともに3年ぶりの増加が見込まれている。

 2005/06年度における大豆作付面積は減少するが、収量は単収の増加から58.5百万トンと大きく増加が見込まれている。仮にこの通りとなれば、世界の2005/06年度の輸出量の増加分(3.2百万トン)はブラジル産が占めることになると見られている(表1)。

表1 ブラジルにおける大豆、トウモロコシの作付面積、生産量の推移

資料:「Oilseeds: World Markets and Trade」、
「Grain: World Markets and Trade」(USDA/FAS)


● ● ● アルゼンチンはブラジルと対照的に大豆作付面積は増加しトウモロコシ作付面積は減少 ● ● ●

 大豆価格が作付け実施前に高かったことを受け、アルゼンチンの2005/06年度における大豆作付面積は記録的となる15.2百万ヘクタールと見込まれている。大豆作付面積はここ15年間毎年増加している。一方、トウモロコシ作付面積は減少が見込まれており、乾燥気候が継続すれば、トウモロコシから大豆へのさらなる転換が進むものと見込まれている。

 本年7月の大豆とトウモロコシの価格比は、大豆の作付けを選択する目安である2.0倍を上回る2.50倍となり、7月としては、97年以降で最も高い比率を示しているとのことである。

 このことから、2005/06年度の大豆生産量は、昨年の記録的な39.0百万トンを上回る40.5百万トンと見込まれる一方、トウモロコシ生産量は減少するとのことである(表2、表3)。

表2 アルゼンチンにおける大豆、トウモロコシの作付面積、生産量の推移

資料:「Oilseeds: World Markets and Trade」、
「Grain: World Markets and Trade」(USDA/FAS)


表3 アルゼンチンにおける価格比(アルゼンチンFOB7月)


資料:「Commodity Intelligence Report」(USDA/FAS)


● ● ● トウモロコシ生産は米国主導なのに対し大豆生産は二極構造 ● ● ●

 ブラジルとアルゼンチンの2005/06年度における大豆生産量の合計は99.0百万トンで世界総生産量の44.7%と見込まれており、4年連続で米国を上回ることになる。世界のトウモロコシ生産が米国主導であるのに対し、大豆生産はブラジル・アルゼンチンと米国との二極構造を呈している。

 現状では、ブラジルとアルゼンチンの2005/06年度における大豆・トウモロコシ生産量は、ともに2004/05年度を下回っていない。今後の作柄は天候の注視が必要である(表4)。

表4 米国、ブラジル、アルゼンチンにおける大豆生産量の推移

資料:「Oilseeds: World Markets and Trade」(USDA/FAS)


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