乳製品卸売価格の動向


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● バター価格は前年同月比25.9%安 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によれば、11月のバター卸売価格は前年同月比25.9%安のポンド当たり142.6セント(キログラム当たり380円:1ドル=121円)と大幅に下落した。好調な販売と適正な在庫水準にもかかわらず、生乳生産が夏以降前年を4〜5%上回るペースで拡大し供給が過剰になっていることから、9月の中ごろから価格の下落が始まった。市場の需給動向を見ても、バター民間在庫は最大で前年同月比10%の減少となっているが、最大で同60%の減少となった2004年と比べると、在庫の取り崩しは緩やかとなっている。

図1 バター卸売価格の推移

資料:USDA


● ● ● チーズは買い控え ● ● ●

 USDAによれば、11月のチーズ卸売価格は前年同月比3.6%安のポンド当たり199.9セント(キログラム当たり533円)とバター同様に下落となった。USDAによれば、感謝祭需要向けのチーズはすでに出荷されたことから、現在の市場では、買い手が望む価格までどの程度値下がりするかに関心が移っているとされている。また、チーズ生産量も前年同月を1〜7%上回る勢いで増加が続いている。しかし、USDAによると生乳価格がほぼ前年並みに近づきつつあることから、下落するチーズ卸売価格との価格差の関係から、チーズ生産は平年並みの生産水準に落ち着くと見込まれている。


● ● ● 脱脂粉乳は国際価格の影響で値上がり ● ● ●

 脱脂粉乳は国際価格の影響で値上がり一方で、国際市場の影響を受けやすい脱脂粉乳はバターやチーズと異なる動きをしている。USDAによれば、11月の脱脂粉乳卸売価格は前年同月比15.8%高のポンド当たり99.5セント(キログラム当たり265円)と15カ月連続で前年同月を上回った。国際的な粉乳需要は依然堅調であり、米国における卸売価格も夏以降、国際価格との調整を経て緩やかに上昇を始めた。それに対して、脱脂粉乳生産量は14カ月連続で前年同月を下回って推移しており、10月は前年同月比22.2%減と大幅な減少となっている。USDAによれば、米国卸売価格および国際価格は、供給のひっ迫を背景に引き続き値上がり傾向が続くものと見込んでいる。

図2 脱脂粉乳卸売価格の推移

資料:USDA


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