ブラジル、鳥インフルエンザ対策を強化


官民共同の防疫対策強化

 ブラジル農務省(MAPA)は、ブラジル国内における鳥インフルエンザ予防およびモニタリングを強化するため、ワーキンググループの設置を決定した。これは10月25日にロドリゲス農相がフルラン開発商工相、厚生省代表者、養鶏関係団体の代表らと行った会議の後に発表したもので、同グループの目的は鳥インフルエンザに対する官民共同の行動を定め、予防策を強化し、監視体制を確立することにあるとしている。対策例として国際空港の到着ロビーに設置したエックス線探知機の精度を向上し、有機物の探知をさらに確実にすること、また、有機物焼却センターを設け、鳥インフルエンザ発生国からの航空機の機内食の残りを焼却することなどを挙げている。

 さらに農相は、養鶏場での生産システムや国際衛生規則に合致した防疫体制が必要であるとしている。これは地域によってはインテグレーション化されていないところもあり、その生産形態によって、取るべき行動を定めることが重要であることを意味しており、このことについては、民間部門も鳥インフルエンザ予防を実施するための資金協力をする意向であると話している。


好調な輸出を維持

 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、1〜10月までの鶏肉輸出量(骨付きベース)は前年同期比16.3%増の232万5千トン、輸出額は同31.4%増の27億1千万ドル(3,279億円:1ドル=121円)、1トン当たりの輸出価格は1,167ドル(14万1,207円)と前年同期の1,033ドル(12万4,993円)に比べ13.0%高となっている。このうち、日本向けについては、33万2千トンと前年同期比を24.9%上回り、輸出額は同31.7%増の5億6千万ドル(677億6千万円)、1トン当たりの輸出価格は同5.5%高の1,674ドル(20万2,554円)となった。

 なお11月時点の現地報道において、ブラジル養鶏組合(UBA)と鶏肉輸出業者協会(ABEF)の見通しによると、2005年のブラジルの鶏肉輸出量は、昨年の240万トンを上回る290万トンとしている。


業界は共同で声明を発表

 UBAとABEFは11月3日、最近の鳥インフルエンザをめぐる状況について次のようなプレスリリースを連名で発表し、この中で報道機関の正確な情報の伝達や消費者の正しい情報の見極めを呼びかけた。

・ブラジルでは鳥インフルエンザの発生はないこと

・MAPAによる全国鳥衛生監視プログラム(PNSA)において民間部門も協力し、鳥の疾病予防のため、港湾、空港などの監視を含め実施している対策のさらなる強化を予定していること

・全国の養鶏場はインテグレーション化が進んでおり、農場へのアクセスを厳しく制限していること

・鳥の疾病問題が発生した場合、正式な検査結果の公表前に鳥インフルエンザの疑いが報道され、情報の乏しい消費者には「鶏肉を食べることでウィルスに感染する」という誤った情報を植えつける可能性があること、

・またその報道が輸出に影響するだけでなく、国内の養鶏産業関連の雇用や経済活動にマイナスに働くこと−など

 ブラジルは、全輸出量の4割を占める世界最大の輸出国であることから、現在の衛生状況を維持し、輸出のさらなる増加への期待がうかがえる。


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