GMカノーラの交雑上限基準値設定などを議論 ● 豪 州


第一次産業大臣会議で決定

 連邦政府と各州(準州を含む)政府の第一次産業大臣による「第一次産業大臣会議」が10月26日、タスマニアのロンセストンで開催された。9回目となる今回の会議では、(1)遺伝子組み換え(GM)カノーラの交雑上限基準値の設定、(2)鳥インフルエンザへの注意喚起と全国規模の演習、(3)干ばつ対策の見直し―などに関して論議が行われた。概要は次のとおり。


○ GMカノーラの交雑問題

 遺伝子組み換え(GM)カノーラについては、連邦政府は商用栽培を許可したが、州政府が一部試験栽培を除き、期限付きで商用栽培を禁止している。しかし、最近、多くの州で通常のカノーラ(GMフリーカノーラ)と混じって微量のGMカノーラが発見されたことから、交雑の問題が生じた。その結果、会議で、GMカノーラの交雑上限基準値として遺伝子技術規制局(OGTR)が認めた数値を、全国的な基準として採用することになった。

 合意されたGMカノーラの交雑上限基準値は、穀物では、0.9%(これは、EUレベルで適用されている基準と同程度とされる)、販売される種子では0.5%。なお、種子についての基準値は、2006〜07年の間は適用され、それ以降は0.1%に引き下げられる。

 一方、GMフリーカノーラを求める市場の要望もあることから、これに応えるため、会議は、産業界(または各州政府)に対し、GMフリーを担保できるような効果的な試験や基準、手続きを開発することを要求している。 

 なお、独立した委員会によって、現行の遺伝子技術法が2006年6月までに見直される予定になっている。


○ 鳥インフルエンザ問題

 会議では、アジア各地にとどまらず世界的に拡大している鳥インフルエンザについて、感染の疑いのある家きん類や野鳥が豪州国内で発見された際、速やかに対策を講じるための各州農業部門での準備状況についての報告やそれに対する助言などが行われた。また、11月29日から12月1日の間に全国規模で行われる官民合同の鳥インフルエンザ発生に対応するシミュレーション「エレウシス演習」の重要性について確認された。


○ 干ばつ対策の見直し

 会議は、地域や農家に対して干ばつに対する、より効果的な対策(事前準備や事後処理)を研究するよう常設機関である全国干ばつ委員会に要請するとした。さらに、連邦政府と州政府の間で争点となっている干ばつ指定地域となる例外的環境(EC)認定について、現在、干ばつで被害を受けている農家の不利にならないような解決策を採ることが優先事項であるとして、地域の核となる生産者とこの問題に関して協議することを同委員会に要請するとした。

 全体的な干ばつ支援対策については、本年度大きな変更を行ったが(海外駐在員情報第669号参照)、将来の干ばつに備え、さらなる改善を推し進めることを強調した。


○ NLISの全国的な義務化

 2007年7月1日からの電子タグを利用した全国家畜個体識別システム(NLIS)の義務化が予定されている北部準州(NT)の状況について説明がなされた。NTでのNLIS義務化により、豪州全国でNLISの義務化が実現する。


○ その他の問題など

 貿易問題に関しては、世界貿易機関(WTO)農業交渉で、豪州は、EUや米国、ほかのケアンズグループの国々と、豪州の生産者の利益を図るために協力していく必要があることで一致した。また、国内の動物福祉問題について、新たな検討委員会の設置を決めたことや、先に示された豪州・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)による食品に関する原産地表示規則改定案への賛同などが示された。なお、原産地表示規則改定案は10月28日に行われた豪州NZ食品規制閣僚会議で正式に了承された。



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