バルカン諸国、EU25カ国における2005/06年度トウモロコシ生産について


◇絵でみる需給動向◇

● ● ● 豊作となるバルカン諸国 ● ● ●

 米国農務省(USDA)の発表によると、EU25カ国に含まれないバルカン諸国(ルーマニア、セルビア・モンテネグロ、クロアチア、ブルガリア、ボスニアヘルツェゴビナ、アルバニア、マケドニア)における2005/06年度トウモロコシ生産量は、豊作であった昨年には及ばないものの、夏季の降雨といった良好な生育環境に恵まれたことから、直近5カ年の平均を約3割上回る2,110万トンと見込まれている。バルカン諸国でトウモロコシの最大生産国はルーマニアで、2005/06年度生産量は豊作となる900万トンが、当該地域で二番目の生産国であるセルビア・モンテネグロは、例年を上回る700万トンが見込まれている。バルカン諸国における2005/06年度国別生産量をみると、ルーマニアとセルビア・モンテネグロの上位二カ国で、この地域の生産量の約8割を占めている(図1)。

図1 2005/06年度バルカン諸国トウモロコシ生産量

資料:「Commodity Intelligence Report」(USDA/FAS)

● ● ● EU25カ国は前年割れ ● ● ●

 EU25カ国における2005/06年度トウモロコシ生産量は、前年度を556万トン下回る4,779万トンと見込まれている。生産量の減少は、収穫面積が前年度から54万ヘクタール下回ったこともあるが、それ以上に、局地的に発生した厳しい干ばつの影響によるところが大きく、EU25カ国で生産量が多いフランスとスペインでは、著しく単収が減少している。EU25カ国全体をみると、イベリア半島地域では記録的な不作であったが、EU25カ国で三番目の生産国であるハンガリーが、夏の豊富な降雨量から昨年水準を維持したことにより、EU25カ国は生産量の大幅な減少を免れた。

 EU25カ国における2005/06年トウモロコシ生産量上位五カ国は、フランス、イタリア、ハンガリー、ドイツ、スペインの順となっており、例年四番目に位置するスペインは、干ばつの影響を受け第五位となった(図2)。

図2 2005/06年度EU25カ国トウモロコシ生産量
(100万トン以上の生産国)

資料:「Commodity Intelligence Report」(USDA/FAS)

● ● ● 干ばつでフランス、スペイン、ポルトガルは被害拡大 ● ● ●

 今回の干ばつは、この50年間にスペイン、ポルトガル、フランス南西部を襲ったもののの中では、一番厳しく、スペインでは前年を87万トン下回る390万トンに、フランスでは308万トン下回る1,330万トンの生産量が見込まれている。また、生産量は多くはないものの、ポルトガルでも被害が拡大し、前年を約5割下回る40万トンと見込まれている。なお、直近10カ年をみると、熱波によりパリで数千人規模の死者が発生した年である2003/04年度生産量が一番少なくなっている(図3)。

図3 2005/06年度バルカン諸国、EU25カ国に
    おけるトウモロコシ生産量の推移

資料:「Commodity Intelligence Report」(USDA/FAS)

● ● ● ハンガリーは記録的な生産量 ● ● ●

 ハンガリーでは、良好な発育環境から、2005/06年度トウモロコシ生産量は、昨年を50万トン上回る記録的な900万トンと見込まれている。これは、直近5カ年の平均を300万トン上回ることとなる。豊作が2年続いたため、保管場所が不足していることに加え、港湾施設への直接的な輸送手段がないことから、物流状況は一層悪くなり、輸送経費と輸出遅延が増加しているとしている。このため、現在、保管能力を拡大するべく、多数の保管施設が建設されている。


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