2005年のデンマークの豚飼養頭数、かなりの程度減少


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● わが国の豚肉輸入におけるデンマーク産豚肉の比率が低下 ● ● ●

 デンマークはEUの中で第5位の豚肉生産国であり、生産量の約8割を輸出するEU最大の豚肉輸出国である。わが国から見ても、同国は豚肉の輸入相手先として重要であり、平成16年度は米国を抜いて第1位の輸入先となった。

 しかし、平成17年4〜12月における同国からの豚肉輸入量は、米国が前年同期比15.5%増の23万3千トン、カナダが同4.5%増の15万3千トンといずれも実績を伸ばしたのに対し、デンマークは同13.7%減の23万1千トンとかなり大きく減少し、平成17年度は再び米国が第1位の輸入先となる可能性が高い。


● ● ● 2006年初頭の豚飼養頭数は、前年比6.0%減 ● ● ●

 デンマーク豚肉機構連合(DS)が発表した2006年1月1日の豚飼養頭数は、前年比6.0%減の1,260万頭とかなりの程度減少した。その内訳を見ると、繁殖用雌豚(未経産を含む)が前年比4.3%減の83万8千頭、子豚が同2.3%減の233万1千頭、50キログラム未満の肥育豚が同6.1%減の531万4千頭、50キログラム以上の肥育豚が同8.7%減の538万9千頭と、すべてのカテゴリーで減少している。

 同国の豚飼養頭数の減少は2005年7月1日付け調査(前年比▲1.5%)から続いており、その減少率が大幅に大きくなっていることから、この減少傾向は長引くものと思われる。

デンマークの豚飼養頭数の推移表

注:1月1日時点
資料:デンマーク統計局


● ● ● 生体豚の輸出増が飼養頭数減の一因 ● ● ●

 DSは、同国の飼養頭数が減少した一因として、子豚および肥育豚の輸出が大きく伸びていることを挙げている。欧州統計局によると、2005年1〜9月におけるデンマークの生体豚の輸出は、前年同期比40.9%増の236万2千頭と大幅に増加した。これらの8割は50キログラム未満の肥育用素豚とされ、全体の9割以上が隣国のドイツに仕向けられている。

 近年、デンマークの豚生産者は、国内で厳しさを増す環境規制や生産コストの増大を回避する目的で、ドイツを中心にポーランドなどの新規加盟国(NMS)へのと畜加工場設備などの投資を行い、それらの国で肥育・と畜加工を行う動きを加速していると伝えられる。ポーランドは、NMSの中では豚肉の生産および消費ともに最大であることから、こうしたマーケット事情を背景として主要生産国からの投資対象として重要性を増す可能性は高い。

デンマークの生体豚輸出の推移表(1〜9月)

資料:EUROSTAT


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