2006年に向けた中央経済工作会議、中央農村工作会議を開催 ● 中 国


2006年は第11次5カ年計画の開始年

 中国国家統計局は2006年1月9日、初の全国経済センサスに基づいた近年の国内総生産(GDP)の修正値を発表した。これによると、2003年および2004年はそれぞれ、10.0%、10.1%と2年連続の2けた成長となるなど、近年の同国経済は引き続き極めて力強い成長を維持していることが示された。

 しかし、最近は成長が著しい都市部と内陸の農村部との経済格差の拡大が問題視されている。中国政府も真剣にこの問題に取り組む姿勢を打ち出しており、2005年12月の全人代常務委員会では1958年以来続いた農業税が2006年から全面廃止されることが決定されるなど、農村経済へのテコ入れが急ピッチで進んでいる。

 こうした中、2005年11〜12月には、2006年の経済全体および農業の政策方針を掲げた中央経済工作会議および中央農村工作会議が北京で開催された。2006年は第11次5カ年計画(2006〜2010年)の初年度に当たることから、いずれもその重要性を確認するとともに、国策の最優先課題である経済および農業政策の方向付けを行うことに主眼が置かれるものとなった。


2006年も農業政策が最重要課題

 昨年の11月29日〜12月1日、2006年の中国経済全体の政策方針を定める最も重要な会議である中央経済工作会議が北京で開催された。本会議は、マクロ経済をはじめとして2006年の各産業の発展目標を示唆するものであるが、最重点事項の一つとして農業政策が取り上げられている。その中で社会主義市場経済における新農村の発展を着実に行い、農民の負担軽減、農村振興および農業の刷新といった「三農問題」に傾注するとの目標が掲げられた。具体的には以下のとおり。

1 食糧生産を安定的に発展させる。

2 農民の収益増加を積極的に推進する。

3 農村の道路、飲用水、電力、通信などの生活インフラ整備および教育、文化、衛生などの分野への増資を行う。

4 郷鎮企業など地方財政体制の改革を推進し、農業税改革の成果を確固たるものとする。

5 各種の農村支援対策を展開する。

 このほか、本会議では食の安全・安心を確保する観点から、食品、薬品などの監督強化や鳥インフルエンザ予防の厳格な執行も掲げられた。


12月下旬に中央農村工作会議を開催

 また、2005年12月28〜29日に北京で開催された中央農村工作会議には温家宝首相が出席し、中国経済における農業の重要性がアピールされるものとなった。本会議は毎年、中央経済工作会議同様に3月の全国人民代表大会(全人代:国会に相当)の前に開催され、政府によるその年の農業政策などを全国の地方政府に対し周知徹底させる場となっている。同首相は、「三農問題」の解決は共産党政策の最優先課題であり、都市部および農村部が共に発展して行くことが重要とした。同時に、2006年には国家財政に占める農業への支援対策費の増加率が引き上げられることも発表されている。会議では、2005年の農業、農村の活動状況を整理するとともに、2006年の農業および農村改革に対する以下の6大重点目標が掲げられた。

1 より多くの国家建設資金を農村へ投入し、農村基礎インフラを整備する。

2 農村税制改革を進め、農村総合改革を推進する。

3 安定した食糧生産の発展を図り、国家の食糧安全保障を確立する。

4 農村の土地基本経営制度を堅持するとともに農村土地の建設用地への転用を回避し、農業発展と農村安定を保証する。

5 農民の出稼ぎを計画的に行い、合理的な余剰農村労働力の移転を図ることで地域経済の発展を促進する。

6 農村における教育や衛生分野など社会事業への投資を増強する。


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