米国食肉団体、米農務長官へ謝罪の書簡を送付


NMA、信頼回復のためUSDAへの協力を確約

 ローズマリー全国食肉協会(NMA)執行責任者は1月22日、輸出条件に反する牛肉製品が輸出されたことにより、日本において米国産牛肉の輸入が一時停止されたことを受け、ジョハンズ米農務長官あて今回の過ちを謝罪する書簡を送付したと公表した。当該書簡の内容は以下のとおり。

 米国の小規模な一企業による、日本との牛肉貿易再開のため合意された必要条件を満たさない牛肉製品の輸出は、同長官がこれまで築き上げてきた日本政府との信頼関係の妨げである。それはまた、この重要な市場を再開するため、米国政府の取り組みを熱心に支持してきた牛肉産業界における多くの企業にとっても、今後の妨げになるとともに経営上大きな問題でもある。

 NMAは、輸出証明プログラムの必要条件を満たす義務がある米国産業界の一部による今回の深刻かつ許しがたい過ちを謝罪したい。

 われわれは、今回の失敗を深刻に受け止めた上、日本と合意された必要条件を順守するため可能な限りのことをする所存である。そして、同長官が再度、市場の再開を要求するとき、日本政府に対しわれわれの謝罪を伝えるよう強く要求する。

 われわれは、米国に対する国際的な信頼の回復および増進ため、同長官および米国農務省(USDA)に協力していく所存である。


米農務長官、貿易条件の順守を再確認

 一方、ジョハンズ米農務長官は24日、牛肉輸出証明(BEV)プログラムに参加するすべての施設を対象とした説明会を実施し、本件が人為的なミスによるものであったことを強調し、輸出者およびUSDAの検査員などに対し、貿易条件の順守に対する注意喚起を促した。概要は以下のとおり。

 日本との牛肉貿易が再開したまさに数週間後、わたしが農務長官を拝命した約1年前の状況に後戻りする危険にさらされている。わたしは、事態が一転したことについて誰よりも失望するとともに、本件をとても深刻に受け止めている。

 今回、日本へ輸出されたその不適格な牛肉製品は、当該製品の確認時における輸出者およびUSDAの職員双方による人為的なミスであったと信じている。輸出合意に基づく詳細は、明確かつ細心に関係者に説明されており、また、必要条件を満たすことを確実なものとすることは、輸出者およびUSDAの検査員の義務である。

 本件は、食品安全上の問題ではなく、日本との合意に基づく必要条件に関する米国側の受け入れがたい過ちである。合意条件を支持することにより、輸出プログラムの信用と信頼を維持することが重要であり、すべての関係者に対し、日本のみならずすべての貿易相手国との輸出に関する合意条件の順守が確実なものとなるよう強く要請する。


◎メキシコ向け骨付き牛肉の輸出再開

 同長官は2日1日、30カ月齢未満の牛由来のメキシコ向け米国産骨付き牛肉の輸出が再開したと公表した。

 これまでメキシコ向け牛肉輸出に関しては、米国で初めてBSEが確認された2003年12月以降一時停止したものの、2004年3月に30カ月齢未満の骨なし牛肉の輸出が再開され、また、2005年4月には米国、カナダ、メキシコの3カ国により、BSEに対応した統一的な北米輸入基準の確立が合意されていた。

 同長官は今回の再開を受け、「北米自由貿易協定(NAFTA)のパートナーであり、米国にとって2番目に大きな輸出市場でもあるメキシコの当該決定は、米国産牛肉の安全性および米国のBSE対策への信頼の証しである」と述べた。

 なお、USDAによると、2003年におけるメキシコ向け牛肉輸出額は約8億7400万ドル(1,040億円:1ドル=119円)、うち骨付き牛肉の輸出額は約4,000万ドル(47億6千万円)であったとしている。


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