2012年までの乳製品需給、チーズ以外は軟調に推移


◇絵でみる需給動向◇


 欧州委員会は2006年2月、2005〜12年の主要農畜産物の需給に関する中期見通しを公表した。これは、2005年12月までに得られた統計を基にして作成されており、生乳を除く乳製品に係る内容は以下のとおりである。

 なお、本見通しには、2005年12月のWTO農業交渉香港閣僚会議の決定事項や同時期に立てられた2007〜13年におけるEUの経済予測の影響は加味されていない。


● ● ● 主要乳製品の中で唯一、生産拡大を続けるチーズ ● ● ●

 チーズの生産量は中期的に見て年々増加すると見込まれており、2012年は2004年に比べて8.9%増の917万トンとかなりの程度増加すると予測されている。地域別に見ると、EU15カ国が794万トンと伸び率が7.4%にとどまるのに対し、2005年4月にEUに新規加盟した10カ国(NMS)はEU加盟に伴う経済発展などを背景とした需要増により、19.2%増の123万トンと大幅な増加が見込まれている。

 また、EU25カ国における1人当たりのチーズ消費量も増加基調を維持し、2012年は、2004年と比較して7.6%増の18.3キログラムに増加するとされているが、EU15カ国が18.7キログラムと伸び率が3.9%にとどまるのに対し、NMSは所得の増加や食生活の改善などにより同34.5%増の16.0キログラムと大幅に増加すると見込まれている。


● ● ● 2006年以降のバター生産量は一貫して減少 ● ● ●

 バターの生産量は、市場価格の低迷および介入価格の段階的な引下げなどにより、2006年以降は一貫して減少すると予測され、2012年の生産量は、2004年と比較して7.4%減の195万トンに減少するとされる。2012年の1人当たりのバター消費量を見ると、NMSが12.0%増の3.84キログラムと増加を維持するのに対し、EU15カ国は8.8%減の3.92キログラムと逆に減少傾向を示し、2012年に両者の1人当たり消費量はほぼ拮抗すると予測されている。


● ● ● 脱脂粉乳生産量の減少幅はバターをしのぐ ● ● ●

 脱脂粉乳の生産量を中期的に見ると、チーズなど高付加価値製品の生産シェアが高まる中で、バターと同様に2005年以降は一貫して減少すると見込まれており、2012年の生産量は2004年と比べて13.9%減の94万4千トンとかなり大きく減少すると予測されている。脱脂粉乳に関しては1人当たりの消費量が公表されていないが、2012年のEU25カ国全体の消費量は2004年と比べて12.2%減の83万3千トンとかなり大きく減少するとされる。この中でEU15カ国の消費量は同11.4%減の76万9千トン、NMSは同21.0%減の6万4千トンと、チーズやバターとは逆に、NMSがEU15カ国より減少幅が大きくなるのが特徴となっている。

チーズ需給の推移

バター需給の推移

脱脂粉乳需給の推移

 資料:欧州委員会「Prospects for agricultural markets
     in the EU2005-2012」


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