EU、家きんでH5N1型の鳥インフルエンザを確認


 EU域内において、4月10日現在、商業用の家きんへのH5N1型のウイルスによる感染または疑われる事例が確認された事例は、フランス、スウェーデン、ドイツの3件となっている。


フランスの七面鳥飼養農家で、H5N1型を確認

 フランス農漁業省は2月24日、同国中東部のアン県の家きん農場でH5N1型のウイルスによる高病原性鳥インフルエンザを確認した。これは、EU域内で、同型のウイルスによる家きんへの感染が確認された初めての事例となる。アン県では2月18日に野生のカモで同型のウイルスが確認されており、このカモが発見された地点を中心に半径3キロメートル以内を保護区域と設定していた。この農場は、この保護区域内にある1万1千羽以上の七面鳥を飼育する農家であった。同農場では、大量の七面鳥の死亡が確認され、当該地域の保健衛生所に通報していた。

 発生のあった農場の七面鳥は、EU指令に基づき、すべての鳥が殺処分され、施設などの消毒が行われた。


フランスの発生県での防疫対策

 家きん農場で高病原性の鳥インフルエンザの発生があったアン県では、今回の発生が疑われた時点で、防疫対策を強化している。まず、広範にリスク管理を行う地域として、委員会決定2006/135/ECに基づき、隣接するローヌ県の行政区(コミューン)を含め、319の行政区を設定した。同域内のすべての畜舎施設では、施設へのウイルスの侵入を防ぐため、出入り口に、消毒槽の設置が義務付けられた。さらに、同区域内での家きんを含むすべての鳥の移動禁止、生きた鳥などを集めることを禁止、肉、肉製品、種卵、食用卵の流通管理の強化などを実施している。3月27日までに、本農場において新たな感染が見られないため、本農場に関する対策は解除されたが、近郊の地域において野鳥での鳥インフルエンザ感染が確認されており、この事例に対する制限措置は継続したままである。

 また、アン県は、ペットの鳥も含め、屋外で鳥を飼養している住民に対し、注意喚起を行っている。主なものは、次のとおり。

・家きんを完全に閉鎖された施設の中で飼養すること。その際、施設内の換気のため、野鳥が侵入できない開口部を設置することは可能である。

・ 野鳥が寄ってくることを防止するため、屋外での給餌、給水を禁止。また、雨水がたまるようなえさ箱、水おけを屋外から取り除くこと。

・施設の中では、えさ、水を十分に与えること。水は、屋外のたまり水、池などから与えてはならない。

・敷きわら、食品を含め、施設に入れるものを野鳥から隔離すること。


スウェーデンの猟鳥農場でN5型の鳥インフルエンザを確認

 欧州委員会は3月17日、スウェーデン当局から、同国東岸のオスカッスハムン(Oskarshamn)近郊の猟鳥農場のマガモからH5型(H5N1型と強く疑われる)の高病原性鳥インフルエンザが確認されたとの報告を受けたと発表した。このサンプルは、H5N1型のウイルスによるものであるかを確認するため、EUの参照研究所に送付された。

 同国では2月28日に野生のカモからH5型のウイルスが確認されており、このカモが発見された地点を中心に監視区域を設定していた。この農場は、この監視区域内にあるマガモ500羽とキジ150羽を飼育する猟鳥農場である。

 同国当局は、EU指令および決定に基づき、当該農場のすべての鳥を殺処分、周辺の他の農場における監視を強化、施設の消毒などを実施するとしている。なお、当該農場の鳥は過去数週間、食鳥処理および出荷向けの移動はない。

 今回確認されたH5型のウイルスは、監視区域内での対策を強化したことにより確認されたものであるが、このウイルスは1羽のマガモからしか検出されておらず、その他の鳥は健康な状態にあるという。感染の状況を詳細に調査するため、当該農場の鳥を処分する際にさらなる検査を実施するとしている。

 同国においても、委員会決定(2006/135/EC)に基づく広範にリスク管理を行う地域を設定しており、4月24日まで適用することとしている。


ドイツの家きん農場で高病原性鳥インフルエンザを確認

 欧州委員会は4月5日、ドイツ当局から、同国中東部ザクセン州のベルンスドルフ(ライプチヒ近郊)の家きん農場で、H5N1型の高病原性鳥インフルエンザの発生が確認された報告を受けたと発表した。

 今回感染が確認された農場は、8千羽の七面鳥、5千羽のガチョウ、3,300羽のめんどりを別々の棟で飼養する農場であった。当局は、EU指令および決定に基づき、当該農場のすべての鳥を殺処分、周辺の他の農場に対する監視を強化するとしている。また、感染が確認された農場から半径3キロメートル以内を保護区域、同10キロメートル以内を監視区域に設定している。


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