欧州委員会は７月28日、2006〜2013年の欧州連合（ＥＵ）における主要農産物の需給に関する中期予測を公表した。これは、2006年６月までに公表されたデータを基にしたものであり、豚肉に係る内容は以下のとおり。

● ● ● 2013年の豚肉生産量は、2006年と比較して3.6％増の2,209万トン● ● ●

　欧州委員会によると、ＥＵにおける今後の中期的な豚肉生産量は、国内外で増大する豚肉需要を背景として増加傾向で推移するとみられており、2013年は2006年と比較して3.6％増の2,209万トンになると予測されている。なお、豚肉生産量は、対象期間中においてＥＵ15カ国、新規加盟国（ＮＭＳ）ともに一貫して増加すると見込まれている。

● ● ● 一人当たりの豚肉消費量、44.1キログラムに増加● ● ●

　ＥＵで最も好まれる食肉である豚肉の消費は、牛肉消費量が減少するのとは対照的に、2005年はいったん前年を割り込むものの、2006年以降は順調に増加すると予想されている。2013年の一人当たりの豚肉消費量は、2006年と比べて2.8％増の44.1キログラムに増加すると見込まれている。

　これを地域別に見ると、従来からの加盟国であるＥＵ15カ国が2.4％増の43.5キログラムにとどまるのに対し、ＮＭＳは同4.9％増の47.1キログラムとなり、ＮＭＳの伸び率は前者の約２倍となっている。なお、2013年におけるＥＵ15カ国の牛肉消費量の予測値（19.7キログラム）はＮＭＳの約３倍と逆に多くなっており、両地域における豚肉と牛肉の消費構造は大きく異なっている。

● ● ● 横ばいで推移する豚肉輸出● ● ●

　今後の豚肉輸出の動向を見ると、2006年以降はほぼ横ばいで推移し150〜160万トン台を維持するとされる。しかし、近年はＥＵ最大の豚肉輸出国であるデンマークの豚飼養頭数が減少傾向にあることから、今後の豚肉輸出はデンマークの豚飼養動向に影響される可能性も高い。なお、域内外の豚肉需要が堅調であることから、昨年同期の輸出量予測と比較すると毎年20万トン程度上方修正されている。

　一方、輸入量は需要に占める割合はわずかであるものの、域内の旺盛な豚肉需要を反映して、2013年は2006年の２倍近い２万４千トンと大幅に増加するとみられている。

EU25カ国の豚肉需給の推移（2004〜2013）

資料：欧州委員会「Prospects for agricultural markets in the EU」