欧州委、食品と飼料の早期警戒システムの運用実績を公表


ヒトの健康保護のための情報共有システム

 RASFFは、関係国が食品の安全確保のために講じた対策などについて情報を共有し、他の関係国が早期に同じリスクに対処できるように1979年より運用が開始されており、現在では、関係国(EU加盟25カ国、欧州自由貿易連合加盟4カ国(ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランド、スイス))、欧州委員会、EFSAにより運用されている。

  ある国がヒトの健康に深刻な影響を与えるリスクに関する情報を得た場合、直ちにこの情報を欧州委員会に報告し、これを受けた同委員会は、直ちに本システムを通じて全関係国やEFSAに通知することとなっている。

  本システムにおいて関係国が欧州委員会に報告する事項は次の3種類に分けられる。

 1 ヒトの健康保護のために、加盟国などが実施した食品や飼料の流通制限、流通禁止、リコールなどの対策で、早急な周知が必要な事項

 2 ヒトの健康保護のために、関係者が実施する食品や飼料の流通禁止、流通制限、条件付流通などの対策で、早急な周知が必要な事項

 3 輸入貨物の検疫の結果、ヒトの健康に直接または間接的にリスクを及ぼすとして輸入を許可しなかった事項

  また、通知には、「情報通知」と「警戒通知」の2種類があり、「情報通知」はリスクが確認されたものの、例えばすでに輸入禁止措置などが講じられ、市場に出回る恐れがないことから特に対策を講じる必要がない場合に発出される。一方、「警戒通知」は、情報提供国以外でも早急な対応が必要な場合に発出される。


2005年の実績について

 2005年に通知された3,158件のうち、情報通知は2,202件、警戒通知は956件であった。

  情報通知では、その約8割が関係国以外の第三国由来の食品に関するものとなっている。また、食品の種類別に見た場合、食肉および食肉製品に関するものは147件(全情報通知の7%)となっており、その他の畜産物もわずかとなっている。

  一方、警戒通知においては、約6割が関係国由来の食品に関するものとなっている。また、食品の種類別では、食肉および食肉製品に関するものが171件(全警戒通知の18%)、牛乳および乳製品に関するものが38件(同4%)となっており、情報通知より畜産物の占める割合は高くなっている。

  なお、本報告においては、具体的な通知の対象となった事例も盛り込まれており、畜産物に関しては、細菌による食肉製品や乳製品の汚染事案、食肉の輸入禁止国からの証明書の偽造による不正輸入事案、輸出が禁止されていたイギリス産牛肉の証明書の偽造による不正輸出事案、ドイツにおける食用に向かない動物副産物を使用した食品の市場流通事案などが報告されている。


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