米国、WTOドーハ交渉の一時凍結に落胆


米通商代表・農務長官、G6閣僚会合での他国の柔軟性の欠如に不満

 シュワブ米国通商代表とジョハンズ農務長官は7月24日ジュネーブにおいて、ラミーWTO事務局長がドーハラウンド交渉の当面の間の凍結を表明したことに関し、共同記者会見を行った。

  「われわれは交渉の促進者としてラミーWTO事務局長が聴聞を行うことに合意した。米国がラミー事務局長とともに会談した際には、米国は国内支持の削減と市場アクセスの野心についての柔軟性を用意していたし、明快であった。しかし、昨日のG6閣僚会合が一巡し、聴聞の過程において米国のみが更なる柔軟性を示した唯一の国であるに相違ないということが非常に明確となった。事後にラミー事務局長と話した際、自分はこれまでの市場アクセスに関する議論を通じて、誰も動こうとする者が居なかったことは明白であると述べた。米国にその提案を示すことを期待できなかったのではないかと述べたところ、事務局長は合意に至ることが困難な明確な隔たりがあったと述べた。すなわち、米国は基本的にその提案を示し、ラミー事務局長はG6閣僚会合の場で公式に米国が提案を示したならば、ポケットにしまわれてしまうであろうということを悟ったということである。現時点でささいなことに執着している国は市場アクセスに関する行動を好まない国々である。すべての指摘は貧困の救済に寄与するものではなく、農民や家族を貧困から救うものでもない。本質的な行動を伴わない行動であり、米国の仕事のやり方ではない。」とし、G6閣僚会合に参加した先進国がドーハ開発アジェンダの目的である貧困の救済に積極的な役割を果たしていないと不満を示した。

  なお、今後のWTO交渉の具体的な凍結期間については、今後の数週間または数カ月間の議論の進展次第であるとした。


米国の農業団体は政府の対応を支持

 米国の農業団体は今回のG6閣僚会合における米国政府の対応を評価する声明を出している。

○ NFU(ファーマーズユニオン)

 合意に至れなかったことには驚かない。今後の貿易交渉において、労働基準、環境、為替などについて公平な競争のための規定が必要である。米国の農業者の立場からは、貿易交渉が米国の地域が直面している課題を支援しようとする米国政府を著しく束縛するとの懸念があった。米国政府および世界の政策決定者に米国内外の生産者に公平な競争を創出する貿易合意のみを追求するよう引き続き求めていく。

○NCBA(全国肉牛生産者・牛肉協会)

 G6会合でWTO交渉が挫折したことを遺憾に思う。米国の交渉者は世界中の生産者および消費者に有益で大胆な農業提案を行った。また、米国の農業者や肉牛飼養者にとって適切な貿易政策のための米国の交渉団の努力を誇りに思う。貿易の重要度と課題について再評価を行っているところである。大統領貿易促進権限の更新を積極的に進めていく。

○NPPC(全国豚肉生産者協議会)

 ブッシュ大統領および通商代表のWTOドーハラウンドにおける野心を満たさない合意を留保するとの決定を支持する。貿易交渉は一時中断されたが、直ちに軌道に戻ることを期待している。特に日本とEUにおける積極的な譲歩が必要である。

○NMPF(全国生乳生産者連盟)

 WTOの交渉の打開に向けた努力を中断するとの決定に落胆した。米国の交渉者は、米国の乳業界および米国にとって、好ましくない交渉よりは交渉を行わないことの方がましであり、利益がむしろ少なくなることを理解し、現時点から立ち去ることに合意した。WTO交渉の遅れは、米国の生産者および乳業界の競争力を最も効果的に発揮することを妨げている、輸出補助金などの重大な貿易阻害に対する回答を待たねばならないことを意味する。ドーハラウンドが終了できるよう、来年の夏には大統領貿易促進権限の延長が必要である。


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