肉牛市場取引価格、徐々に改善へ


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2006年1月以降、取引価格は右肩上がり ● ● ●

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が発表する最新の肉牛市場取引価格によると、主要肉牛生産地域であるクイーンズランド(QLD)州、ニューサウスウェールズ(NSW)州の気象条件が、干ばつから改善されつつあることから、主要カテゴリーにおける肉牛価格は底を打ち、夏場の終わりに向けて再び上昇傾向を示している。

東部地区若齢牛指標価格(EYCI)


資料:MLA

 MLAが発表した肉牛取引の指標となる東部地区若齢牛指標価格(EYCI)を見ると、干ばつによる放牧条件の悪化と飼料価格の高騰により肉牛生産者が出荷を加速させたことから、肉牛の市場取引頭数は増加傾向で推移しているものの、指標価格は、本年1月以降、徐々に改善されている。指標価格の平均で比べると、1月はキログラム当たり304豪セント(289円:1豪ドル=95円)であったが、2月は4.4%高の同317豪セント(301円)となった。

 しかし、指標価格は、1日当たりの平均取引頭数が増加しているため、前年水準を下回っている。


● ● ● エルニーニョ現象は終息するも、継続する干ばつ ● ● ●

 豪州気象局(BOM)によると、今回の干ばつを引き起こしたエルニーニョ現象は終息し、太平洋沿岸地域には例年並みの天候が戻ると見通しているが、NSW州の96%、QLD州の63%およびビクトリア州の大部分では、依然、干ばつの状況から脱していないため、降雨量の増加が待ち望まれている。

 BOMが発表した向こう3カ月間(3〜5月)の短期予報では、豪州全体では例年並みの天候が見込まれるが、西オーストラリア(WA)州の中央部における降雨量が例年水準を超える確率は60%以上、QLD州南部、NSW州、ビクトリア州、タスマニア州および南オーストラリア州は、45〜55%としている。なお、同確立が低い地域はWA州の南西部突端で、わずか35〜40%としている。

市場取引頭数

資料:MLA


● ● ● グラス・フルセット価格は変わらず ● ● ●

 肉牛取引価格は、徐々に改善されているが、日本向けなどのグラスフェッド・フルセット価格は、あまり価格変動は見られない。これは、日本などに仕向けられる品質の良い肉牛確保が難しくなっており、肉牛価格に直ちに連動することなく、また実需者からの引き合いが弱まることがないためとしている。


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