欧州委、緊急獣医師チームの設立を法制化


これまでの支援体制を法制化

 欧州委員会は2月27日、EU域内および第三国において動物疾病が発生した場合、迅速に専門的な支援を行う緊急獣医師チームを設立する旨の委員会決定を適用した。この決定に基づく獣医師チームは、鳥インフルエンザ、ブルータング、口蹄疫などの疾病が発生した場合に、即座に対応可能な専門家によって形成されることになる。このチームのメンバーは、発生した加盟国や第三国に派遣され、技術的な援助および疾病の発生により制限区域に指定される地域の衛生当局とともに働くことになる。またこのチームは、国連食糧農業機関(FAO)、国際獣疫事務局(OIE)などの国際的な機関の専門家とも密接に協力することになる。今回は、これまで実施してきた同様の支援体制をEUの‘決定’として法制化するものである。


迅速な支援体制の必要性

 急速に感染が拡大する恐れのある重大な動物疾病が発生した場合には、迅速な対応が不可欠であり、また、十分に知識のある専門家が対処することが極めて重要なこととなる。しかしながら、このような知識が豊富な専門家を直ちに探すことは非常に時間がかかる。

 こうしたことから、今回の決定では、疾病が発生した国や地域から要請があった場合に、獣医学、ウイルス学、野生生物、研究所試験、リスクマネージメントなどの専門家を24〜36時間以内に確保することとしている。

 本決定では、まず各加盟国が対応可能な専門家のリストを欧州委員会に提出し、このリストに基づき、欧州委員会がメンバーを選出し、チームを編成することとしている。なお、メンバーの選出に当たっては、フードチェーン・家畜衛生常設委員会での承認が必要となる。また、専門家のリストは毎年更新される予定となっており、これらのリストは欧州委員会のウェブサイト上で公表されることになる。

 なお、本チームのメンバーの手当ては、終日現地での活動に携わった場合、1日当たり300ユーロ(4万7千円:1ユーロ=158円)、半日の場合、またチームの活動に関する会議に出席した場合、同150ユーロ(2万4千円)、またチームのリーダーとして活動する場合は、携わった時間にかかわらず同300ユーロとなっている。


これまでの獣医師チームの支援実績

 EUは、これまでにも、動物疾病が発生した国や地域だけでは十分に対処することが困難な場合、加盟国や第三国へ専門家を派遣している。2005年10月以降のトルコ、ルーマニア、ウクライナ、ブルガリア、エジプトでのH5N1型のウイルスによる高病原性鳥インフルエンザの発生時には、オランダ、ベルギー、ドイツなどで同疾病の対処に当たった専門家が派遣された。また、2006年8月にオランダにおいて北緯50度以北で初のブルータングが発生したが、この際、イタリアなど南欧の専門家が、同国に派遣されている。


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