アルゼンチンにおける牛肉の加熱処理施設



ひとくちMemo

 アルゼンチンは2007年5月23日、国際獣疫事務局(OIE)総会において、口蹄疫ワクチン不接種清浄地域の拡大およびBSEについては「無視できるリスク国」のステータスの認定を受けた。国際的な衛生ステータスの承認を得たことで、関係者は今後さらなる食肉輸出の増大を期待している。
 日本向けには現在は加熱処理肉のみ輸出が認められており、農林水産省の認定を受けた加熱処理施設が国内に9施設ある。日本向け加工肉輸出は2004年以降年間2千トン台で推移している。日本向けの主な用途にはレトルトタイプのカレーの具や缶詰などがある。

 今回訪問したLafayette社は、アルゼンチン国内では10〜14位に位置する中堅の輸出パッカーで1978年に加熱処理部門が建設されたが、その後一時稼働を停止しており、2006年に改築を行い、最新の加工処理施設を整備した。現在のところは日本向け認定施設ではないが、将来的には期待されているところである。1日当たり700頭の処理能力があるが、現在は輸出制限措置もあり450〜500頭程度。生産量の7割が輸出に向けられる。2005年4月にEU向け輸出承認施設として認定され、2007年1月から実際の輸出が開始された。主な輸出先はドイツ、オランダ、イギリス、イタリアなどである。

 

 加熱処理向けの肉は経産牛が中心で、カットされた肉をチューブに詰めていく。実需者により使用する部位やカットの大きさが指定されたり、香辛料などで調味される。チューブは1本当たりおよそ7〜8キログラムで、加熱後には5キログラムになる。
 煮沸前にチューブを金属探知器に通し、異物混入の有無を最終的にチェックする。






 肉を詰めるポリ袋は透明が伝統的だが、最近ではブルーの袋を要求する需要者も増え、これは最終製品の加工段階で袋の混入を見分けやすいためとのこと。

 煮沸用のタンクは計5つあり、一つのタンクに1かご64本×2かごが入る。それぞれのタンクごとの温度記録計により、温度が管理され、肉の中心温度が80度以上になるまで煮沸する。
 煮沸後、10時間でマイナス18度まで下げ冷却、保管する。

 加熱処理前部門と加熱処理後部門は完全に遮断され、容易に行き来ができない。床は清掃しやすく、衛生管理に細心の注意が払われていることがうかがえる。

 

 ラボラトリーでは1タンクにつき1本を抜き出し、肉の中心温度や肉汁の色を検査し、加熱工程を確認する。
 煮沸肉の用途として、電子レンジ加熱用の総菜、瓶入りや缶詰のスープなどがある。


(ブエノスアイレス駐在員事務所 横打 友恵、松本 隆志)

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