南米で口蹄疫の清浄化が進展


アルゼンチンではワクチン不接種清浄地域が拡大

 アルゼンチン国家動植物衛生機構(SENASA)は5月23日、第75回国際獣疫事務局(OIE)総会において、口蹄疫ワクチン不接種清浄地域がこれまでの南緯42度以南の「南パタゴニア地域」と呼ばれるチュブト州、サンタクルス州およびティエラデルフエゴ州の3州に加え、「北パタゴニアB地域」と呼ばれるリオネグロ州およびネウケン州まで拡大されたことを公表した。SENASAのアマジャ総裁は「パタゴニアの中でも重要な地域が今回ワクチン不接種清浄地域に含まれたことで、同地域の畜産物の国際市場へのアクセスが可能になる」と述べている。

 また、北部地域の国境(ボリビア、パラグアイ、ブラジルと国境を接する地域)に設けられた幅15キロメートルにわたる監視地帯を除くネグロ川以北の地域の「ワクチン接種清浄地域」のステータス回復も今回の総会で正式に承認された。


ブラジルでもサンタカタリーナ州が不接種清浄地域と認定

 また、ブラジルについては南部のサンタカタリーナ州(SC州)が同国では初となるワクチン不接種清浄地域に認定された。今回のステータス取得により、ブラジル豚肉生産輸出業協会(ABIPECS)では、「これまでSC州は特に豚肉輸出についてはロシアに依存していたが、今後はEU、チリやアジアなど高価格部位の需要が高い市場も新たに開拓することができるもの」と期待している。ロシアはブラジルの食肉処理工場の衛生管理の不備を理由とした輸入制限を行っており、2005年にはSC州の豚肉輸出量の76.3%を占めていたロシアの割合は、2006年には21.3%に減少している。ブラジル開発商工省(SECEX)によると、2005年のSC州の豚肉輸出量(冷蔵および冷凍肉、製品重量ベース)は26万1千トン、輸出額は4億8千万ドル(595億2千万円:1ドル=124円)だったが、2006年にはそれぞれ前年比33.9%減の17万2千トン、同38.9%減の3億ドル(372億円)となり、ロシア向けの減少が大きく影響した。

 一方、ブラジル養豚協会(ABCS)では、新しいステータスの取得で新規市場の開拓へ1歩前進したことは重要ではあるが、実際の取引が開始されるまでには輸入国との交渉があり、こうした期待が1年以内に実現するのは困難という見方を示している。

 なお、今回のOIE総会では北部のパラ州中央および南部地域がワクチン接種清浄地域として承認された。同地域は44郡から構成され、1,350万頭の牛および水牛が飼養されている。パラ州農業連盟では、「今回のステータス取得は、農務省が進める国内のワクチン接種清浄地域拡大の目標達成に向けた試金石であり、2008年末までに州全体が清浄地域と認定されることを目指したい」としている。


BSEのステータス認定も

 また、OIE総会では加盟国のBSEのステータスが決定され、アルゼンチンはウルグアイ、豪州、シンガポール、ニュージーランドとともに「無視できるリスク国」、ブラジルについては、チリ、米国、カナダ、スイス、台湾とともに「管理されたリスク国」と評価された。パラグアイも申請を行ったが、アイスランドとともに「BSE暫定清浄国」にとどまり、認定は来年に持ち越された。


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