牛乳・乳製品のひっ迫状況、当面継続と予測(豪州)


牛乳・乳製品のひっ迫状況は2007/08年度も続く見込み

 デイリー・オーストラリアは5月23日、豪州酪農乳業の現状および見通しに関する調査報告の概要を公表した。これによると、牛乳・乳製品需要は、国内外の強い需要と記録的な高水準にある乳製品国際価格により引き続き好調な状態を維持する。一方、今後の生乳生産については、気象条件や飼料の保有状況などによる影響が大きいが、現時点では干ばつによりいったん減少した生産量の回復にはある程度の期間を要するとしている。今回の報告は、豪州における千戸の酪農家を対象に、今年2〜3月の調査および4月の再調査結果などに基づいている。

 2007年の豪州における牛乳・乳製品需要は、引き続き好調な海外需要に加え、国内においても牛乳・乳製品販売数量が、スーパーマーケットにおいて7%増、カフェ、レストラン、ホテルといった外食産業において10%増加している。一方、供給面では、干ばつに伴う飼料や水不足および飼料費をはじめとする生産コストの上昇に伴い酪農家の収益性が大きく低下し、生乳生産量が減少している。その結果、牛乳・乳製品需給がひっ迫し、国際乳製品価格高騰の一因ともなっている。こういった需給状況を反映し、2007/08年度の生乳販売価格は、前年度比で10〜15%引き上げられるとみている。


生乳生産量の回復は遅れる見込み

 2006/07年度の生乳生産量は、厳しい干ばつの影響により前年度比8%減の940万キロリットルと予想している。酪農家では年度当初、牛を保留する一方、生乳生産量を維持するため補助飼料の比率を高めている。このため当該年度の飼料費は38%増加する。

 2007/08年度の生乳生産量は、さらに前年度を2%下回ると予想している。これは、干ばつによる飼料、水不足などにより牛のとう汰が進み、その結果、搾乳牛頭数が3〜5%減少するためである。ただし生乳生産量は、5月の降雨による牧草の生育状況および個々の酪農家における越冬用飼料の確保状況により大きな影響を受ける。

 また、3年後の2009/10年度は、今年2月の調査結果では960〜990万キロリットルと予測したが、4月の再調査結果で60万キロリットル減の900〜930万キロリットルに下方修正している。現時点で生乳生産量を予測することについては困難な面があるが、今後数カ月間にどの程度の規模の牛群を保有するのかについて、酪農家の決断が大きな影響を及ぼすとしている。


酪農家の関心が最も高いのは、干ばつおよび気象変動

 このほか、次のような調査結果を報告している。

 90%の酪農家で過去1年間に干ばつの影響を受けており、このうち80%で干ばつ対策を講じている。具体的な対策としては、追加的な飼料の確保、牛1頭当たりの給餌量の増加、若齢牛の留保、搾乳牛の早期とう汰を挙げている。

 酪農経営における大きな関心事項については、「販売価格よりも干ばつおよび気象変動」が32%、「以前と同様に販売価格」20%、「引き続き干ばつおよび気象変動」28%となり、干ばつおよび気象変動への関心が最も高い。

 また、酪農の将来展望に関する意識については、「肯定的」との回答が54%で2006年の調査結果より7ポイント減少している。


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