2007年第1四半期の畜産物生産は総じて好調(フィリピン)


2007年第1四半期の農業生産額の成長率は3.6%

 フィリピン農務省農業経済局(BAS)は5月7日、2007年1〜3月の農業生産状況を公表した。農業部門全体における生産額(85年指標価格)は、前年同期比3.6%増の800億ペソ(約1,999億円:1ペソ=2.5円)と前年を上回った。

 部門別でみると、農業部門生産額の24%を占める水産部門は同8.5%増の189億ペソ(約473億円)と前年に引き続き好調を維持しており、同じく49%を占める作物部門は同2.0%増の391億ペソ(約976億円)となった。

 畜産関係については、農業部門生産額の13%を占める畜産部門(牛肉、水牛肉、豚肉、ヤギ肉、生乳)が同2.2%増の約101億ペソ(約253億円)、15%を占める家きん部門(鶏肉、アヒル肉、鶏卵、アヒル卵)が同2.3%増の119億ペソ(約297億円)となった。家きん部門生産額については、前年同期が同3.8%減の約116億ペソ(約290億円)であったこともあり、それよりは増加しているものの、生産が好調であった2005年の水準までには達していない。


鶏肉生産量は昨年下半期より増加傾向で推移

 畜産部門の生産量を品目別にみると、豚肉の生産量が同2.6%増の46万トン、生乳も同4.6%増の3千トンとなり、ともに増加傾向で推移している。牛肉と水牛肉については減少傾向が続いており、牛肉が5万6千トン(同0.5%減)、水牛肉が2万9千トン(同0.3%減)となった。

 同国の豚については、全国17地方管区のうち北部のルソン地域に位置する中部ルソン管区およびカラバルゾン管区、同国中部のヴィサヤ地域に位置する西部、中部、東部の各ヴィサヤ管区が主要飼養地域となっている。豚飼養頭数はこの5地方管区で全体の約5割を占めており、BASは、今期の生産動向については、特にカラバルゾン管区における大手インテグレーターの生産拡大が注目されるとしている。

 酪農については、乳用牛の飼養頭数がわずかに増加傾向を示していることから、併せて生乳生産量も増加している。ただし、同国における牛乳・乳製品の自給率は1%未満であり、オセアニアなどからの輸入乳製品が消費の中心となっている。

 家きん部門の生産量については、鶏肉生産量が同2.3%増の32万トン、鶏卵が同3.9%増の8万2千トンとなった。鶏肉生産量については、昨年の下半期より増加傾向が続いており、今期の生産量も前年同期より約7千トン増加している。アヒル肉とアヒル卵については、前年に引き続き減少傾向で推移している。


米、トウモロコシは好調を維持

 作物部門では、第1四半期における十分な降雨により、主要作物である米(もみ米)の生産量は同1.6%増の368万トンとなった。トウモロコシについては、米と同様に天候に恵まれたことのほか、他作物からの転作が進んだことなどにより同11.4%増の170万トンとなった。また、同国のトウモロコシの約6割を生産するミンダナオ地域については、ハイブリッド品種の利用増加や耕作地の増加による効果がみられるとしている。

2007年1〜3月農産物生産量および生産額


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