2006/07年度の豪州産牛肉輸出、米国産の影響は小さい


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● ABARE、長引く干ばつで、と畜頭数は前年度比7.1%増と予測 ●●

 豪州農業資源経済局(ABARE)は12月、四半期ごとの農産品需給予測を公表した。これによると、長引く干ばつにより、2006/07年度(7月〜翌年6月)の肉用牛と畜頭数は、前年度比7.1%増の900万頭、牛肉生産量は、同4.0%増の216万トンと予測している。ABAREによると、肉用牛生産者は、干ばつによる放牧適地の減少や飼料価格の高騰などにより、牛群の拡大よりも経営の維持に重点を置くとみている。このため、今後、飼養頭数の増加は抑えられ、2007年6月30日時点の牛飼養頭数は、2,800万頭を割り込み、前年度を2.4%下回る2,790万頭と予測している。

牛飼養頭数、肉用牛と畜頭数、牛肉生産量の見通し

資料:ABARE
 注:牛飼養頭数は各年6月30日時点


● ● ● 肉用牛価格は1割強下がるが、対日輸出価格は1割強上がる ● ●

 2006/07年度の市場取引価格(加重平均家畜市場取引価格:枝肉重量ベース)についてABAREは、肉用牛の出荷が早まっていることから、価格は下落するとみており、前年度比13.0%安となるキログラム当たり280豪セント(269円:1豪ドル=96円)と予測している。

 一方、2006/07年度の日本向け輸出価格(C&F価格ベース)については、前年度のキログラム当たり430米セント(516円:1米ドル=120円)から13.0%高となる同486米セント(583円)と予測している。これについてABAREでは、市場への早出し出荷などにより肉牛の品質が全体的に低下していることから、日本向けを中心とする品質の良い肉牛確保が難しくなっていることを挙げている。

家畜市場取引価格、輸出価格の見通し

資料:ABARE
 注:輸出価格はC&F価格ベース


●● ● 輸出量は前年度を5.9%上回るが、輸出額は前年度を5.8%下回る ●

 2006/07年度の牛肉輸出量については、豪州国内の牛肉生産量の増加を吸収する形で、韓国、米国向けなどへの輸出が好調に推移すると見ており、輸出量全体では、前年度を5.9%上回る94万5千トン(船積重量ベース)としている。しかし一方で、その輸出額は、肉牛価格の値下がりから、前年度を5.8%下回る40億2,600万豪ドル(3,865億円)と予測している。

 2006/07年度の日本向け輸出量は、米国産牛肉の輸入再開の影響が小さいとして、前年度を2.6%下回る38万8千トンと予測している。ABAREでは、この程度の減少にとどまる要因として、日本が輸入する米国産牛肉が、20カ月齢以下と証明される牛由来のものに限定されているとともに、加工場などの認定数が少ないことを挙げている。

輸出量、日本向け輸出価格の見通し

資料:ABARE


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