EU25カ国の2006年1〜9月の生乳出荷量、前年同期を下回る


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2006年1〜9月の生乳生産量、前年同期比1.3%減 ● ● ●

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、2006年1〜9月のEU25カ国における生乳出荷量は、前年同期比1.3%減の9,916万トンとわずかに減少した。

 近年のEUの生乳生産量は共通農業政策(CAP)に基づく生乳生産割当枠(クオータ)により安定的に推移しているが、こうした中で、2005年1〜9月の生乳生産量は前年同期と比較して1.2%上回ったが、今年は一転して減少することとなった。

EU主要国の生乳出荷量の推移(1〜9月)

資料:ZMP

 


● ● ● EU15カ国のすべての主要国で減少 ● ● ●

 これを国別に見ると、2004年4月までの加盟国(EU15カ国)では、域内で生乳生産が第一位のドイツが前年同期比2.6%減の2,052万トン、第二位のフランスが同2.9%減の1,709万トン、次いでイギリスが同1.1%減の1,063万トンと、主要生産国のすべてにおいて減少している。ZMPによると、ドイツやフランスにおけるこうした減少傾向は、本調査報告が公表された2006年11月上旬も続いているとしていることから、第4四半期も同様の傾向が続く可能性が高い。なお、これら3カ国でEU全体の生乳生産の約半分を占める構造は変わっていない。

 また、イタリアが同1.5%減の760万トンに減少したのは、先般、欧州委員会が公表した2005/06年度(2005年4月〜2006年3月)のEU25カ国における生乳供給量の速報値の中で、同国のクオータ超過量が全体超過量の約半数を占めたことへの警戒感が強まっているためと思われる。同様に、同期におけるドイツの超過量も全体の四分の一を占めていることから、年度末へ向けての生産動向が注目される。


● ● ● NMS主要国でも軒並み減少 ● ● ●

 2004年5月にEUに加盟した新規加盟国の主要国の生乳出荷動向も同様の傾向を示しており、同地域の中で最大の生乳生産国であるポーランドが前年同期比1.6%減の650万トン、チェコが同6.9%減の182万トン、ハンガリーが同7.0%減の114万トンといずれも減少している。しかし、バルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)は同6.6%増の186万トンと、前年を上回った。バルト3国は、2005年1〜9月も前年同期比5.7%増と増加傾向が続いており、他の主要国と逆の動向を示している。

 なお、ポーランドは、前年同期においてはEU加盟による乳価の上昇などを背景として10.4%もの上昇を示したが、夏場の干ばつに加えて2005/06年度のクオータ超過量が域内で第二位であったことも出荷量の減少に影響を与えているものと思われる。


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