EUの2007年の豚肉生産量、前年比1.2%の増加見込み


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2007年は前年比1.2%増の2,165万トンの予測 ● ● ●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)は2006年12月、2007年までのEUにおける豚肉需給予測を公表した。これによると、2006年および2007年のEU25カ国の豚肉生産量は、前年比1.3%増の2,140万トン、同1.2%増の2,165万トンと増加基調で推移する見込みである。MLCは、2006年の豚肉生産量がわずかな伸びにとどまると予測したことについて、ポーランドやイギリスなどで繁殖豚頭数が増加したものの、域内で最も養豚が盛んなドイツにおいて豚コレラの発生により飼養頭数が伸び悩んでいる影響が大きいとしている。

EU25カ国の豚肉需要の推移

資料:MLC
 注:2005年は実績、2006〜2007年は予測値


● ● ● 養豚主要国でいずれも増加見込み ● ● ●

 2007年の豚肉生産予測では、上位7位までの国で前年より増加するとされている。生産量が第一位のドイツは、前年比1.4%増の450万トンと増加する見込みであるが、これは、同国での食肉加工賃が近隣諸国に比べ安価であることから、近隣諸国からの生体豚の輸入が増加しているためとされている。一方、ドイツに多くの子豚を輸出しているデンマークの2006年の豚肉生産量は、前年比1.6%減の188万トンと減少する見込みである。しかし、MLCによると、デンマーク産生体豚の輸出価格が次第に上昇することから、輸出が減少し2007年の豚肉生産量は同1.8%増の192万トンと逆に増加するとされている。

 また、第二位のスペインをはじめとして、デンマーク、オランダについては、2006年後半に入って繁殖豚が増加しているとしており、これらの国では豚肉生産の増加がしばらく続くものと思われる。


● ● ● 2006年のEUの豚肉輸出は増加に転じる見込み ● ● ●

 一方、MLCが公表した2006年1〜8月の豚肉輸出実績によると、前年同期比4.7%増の15万3千トンと、かなりの程度落ち込んだ昨年から一転して増加した。

 国別に見ると、従来から最も多い日本向けは、2005年1〜8月が同17.2%減の21万3千トン、2006年同期が同28.2%減の15万3千トンと連続して大幅に減少している。これに対し、2006年同期のロシアへの輸出量は、前年の2倍以上の15万トンと日本とは逆の動向を示している。近年、石油や天然ガスの生産増が続くロシアにおいては、EU産豚肉の購買力が上昇しているものとされ、現在では、従来と異なりロイン系などの高級部位も多く購入しているとされる。ロシアへの2006年同期の豚肉輸出量は日本向け数量とほぼ拮抗するまでに増加しており、2007年の動向にも注視が必要となっている。

EUの豚肉輸出量の推移(1〜8月)

資料:MLC


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