特別レポート

各国(地域)における牛肉の格付け制度

調査情報部 調査情報第一課

1.はじめに

 わが国における牛肉の格付けは、牛枝肉取引規格に基づき実施されているが、現在、食肉卸売市場や産地
食肉センターなどで格付けされている頭数は、全国の牛と畜頭数の約80%に上っている。

 わが国の牛枝肉の格付けは、 「歩留等級」と「肉質等級」の分離評価方式であり、歩留等級は、 胸最長筋面
積、 ばらの厚さ、枝肉冷と体重量、皮下脂肪の厚さを勘案して3段階(A〜C)に区分されている。
また、肉質等級は、 脂肪交雑、 肉の色沢、 肉の締まりおよびきめ、脂肪の色沢と質の4項目から5段階(5〜1)
に区分され評価されている。

 格付けは枝肉の客観的評価として、価格形成の機能を果たすだけでなく、流通、消費段階における牛肉の品
質の保証として公正な取引を推進する役割も担っている。

 一方、海外においては、生産者とパッカーの間の取引形態が生体牛の場合が多いこともあり、格付けの意義
やその利用方法は国によって異なっている。

 今回は、当機構の海外駐在員事務所の管内における代表的な国(地域)の牛肉格付け制度について紹介した
い。
 

                                        日本の牛枝肉取引規格の等級および表示例






 

 

 

 

資料:社団法人 日本食肉格付協会


 

地域の牛肉各付け制度の仕組み


 




 



 


2.豪州 ― シドニー駐在員事務所   井田 俊二、横田 徹

 1 はじめに

 豪州の牛肉産業は、生産量の64%(2005年)を輸出する輸出志向型産業であり、2005年の牛肉輸出量はブ
ラジルに次ぎおよそ90万トン(船積数量ベース)に上る。また、輸出先は、日本、米国、韓国、台湾をはじめ100
カ国以上に及び、世界の牛肉マーケットに占める役割は大きい。

 豪州における牛肉の格付けは、こういった状況を背景とし、品質の一貫性と商品定義の正確性を確保し、需
要者が必要とする一定の品質の牛肉を提供し、国際競争力を高めることを目的として整備されてきたといえる。
また、1999年には消費者に対する牛肉の食感に重点を置いた新たな格付け制度が開始した。
 

 2 格付け制度の歴史と概要

 (1)チラーアセスメント(牛枝肉品質評価制度)による枝肉の評価

 豪州では87年1月、食肉および畜産に関する統一表示および規格の管理機関として、オズ・ミート(豪州食肉
畜産統一基準局)が設立された。一定の品質規格に基づき食肉を分類し、表示方法の統一を図り、需要に応
じた品質の牛肉を提供することにより、国際競争力を高め、豪州の食肉・畜産業界全体の利益をもたらすこと
を目的としている。

 オズ・ミートは、豪州の食肉業界と協議し、食肉の統一認証規格の開発、維持、見直しを行っている。また、独
自の認証プログラムに基づきと畜場や食肉加工場を認定し、オズ・ミートが定めた品質管理システムの実施を
義務付ける一方、認定工場に対するモニタリングを実施している。なお、輸出用食肉を処理すると畜場や食肉
加工場は、豪州連邦法に基づきオズ・ミートによる工場の認定が義務付けられている。

 オズ・ミートが定めた統一表示用語には、チラーアセスメントという冷蔵牛枝肉の品質を評価する基準が示さ
れており、この統一規格に基づき冷蔵枝肉の特質ごとに品質評価、分類および表示が行われている。ただし、
チラーアセスメントは、需要者が必要とする一定した品質の牛肉を供給するための客観的な情報を提供するも
のであり、日本などで行われている食肉マーケットにおける商業ベースの評価を前提とする枝肉の格付けとは
性格が異なっている。
 
 (2)MSA(ミート・スタンダード・オーストラリア)による牛肉の格付け

 99年、豪州の食肉業界団体であるMLA(豪州食肉家畜生産者事業団)が、MSAという新たな牛肉格付け制
度を開始した。この制度は、長期的に減少傾向にある国内牛肉消費の回復と年々厳しくなる牛肉輸出市場に
おける競争力強化を図ることを目的として定められた。

 MSAは、消費者がいかに欲しい牛肉を容易に選択できるかといった消費者の嗜好性に重点をおいた牛肉の
格付け方法である。格付けの基準となるMSA格付けモデルは、これまでに6万人以上の消費者を対象とし、4
万2千頭の牛個体から集められた42万個の牛肉サンプルで食味試験が行われ、牛肉の品質(食感)に及ぼす
直接的または相互的な影響について要因分析した結果に基づき定められた。

 これまでの牛肉の評価が枝肉段階で判定されているのに対し、MSAによる格付けは、牛肉の品質に影響を
及ぼす要因として、血統をはじめ肉牛の生産から消費に至るまでのプロセスについて評価した上で、最終的に
部分肉段階で格付けする。格付けの基準は、牛肉の食感として最も消費者の要求度が高い肉の柔らかさに応
じて3段階に格付けしている。また、それに適した料理方法を併記している。

 なお、格付けを行うに当たりMSAの認証を受けた評価人が牛枝肉の評価を行っているが、この評価は、既
存のオズ・ミートが定めるチラーアセスメントとの整合性を図りつつ、独自の方法で行われている。


 3 運用実態、実績

 MSAの格付けは、肉牛の生産から消費に至るまでのプロセスについて、牛肉の食感に直接的および相互的
に及ぼす影響を算定し決定する。その基礎となるデータは、家畜を出荷する際に提出が義務付けられ、牛個体
の履歴などが記されたMSA出荷証明書(ベンダー・デクラレーション)およびMSA評価人による牛枝肉格付け
結果などであり、格付けを判定する要素として、畜種、性別、マーブリング、月齢、成長履歴、枝肉品質、加工
方法、保冷処置履歴などが含まれる。

 MSA牛枝肉格付けシステムでは、肉の特質を判定する指標として、マーブリング、脂肪色、肉色、発育度/骨
化、最終pH、こぶの高さ、皮下脂肪などがあり、その要点は次のとおり。

〔MSA枝肉格付けシステムの要点〕

 (1) 肉色

 ロース芯の主色について、オズ・ミート肉色評価基準に基づき、成牛の場合、1A(淡色)から7(濃色)までの9段階に分類する。

 (2) 脂肪色

 ロース芯外側で、背最長筋と腸肋筋に接した筋間脂肪の色について、オズ・ミート脂肪色評価基準に基づき、0(白色)から9(濃色)までの10段階に分類する。

 (3) マーブリング

 脂肪分布の密度と個々の脂肪粒の大きさを示しており、牛肉中のマーブリング量の指標となる。このMSA品質評価基準に基づき、100から1,100までの10段階で判定する。また、オズ・ミートの品質評価基準との併用により詳細な特質を知ることが可能となる。

 (4) 発育度/骨化

 牛の肉体的な月齢の評価に利用し、背骨3カ所(尾部、腰部、胸部)の棘突起軟骨部の骨化状況、さらに肋骨の形状および色の状況で判定される。最低100から最高590まで10ごとの段階で評価される。

 (5) 最終pH

 pH測定器で肉内の乳酸値を測定する。食肉の最適pH値は5.70以下で、これを超えるとMSA規格外となる。pHは食感品質を最も正確に示す指標の一つとされ、格付けプロセスの重要な一部とされる。

 (6) こぶの高さ

 熱帯種の特質の尺度として利用する。こぶの高さは、肋骨に対して平行に物差しを置き、こぶの幅が最も広い個所の項靭帯の端から菱形筋(こぶ)の表面まですべての肉を含めて測定する。

 (7) 肋骨皮下脂肪

 チラーアセスメントの基準に基づき、特定の肋骨の皮下脂肪の厚さをミリメートル単位で測定する。


 MSAにおける等級はその基準を満たしたものについて、部分肉段階で、食味品質基準として、EQS5:最上級
の柔らかさ(Supreme Tenderness)、EQS4:上級の柔らかさ(Pre-mium Tenderness)およびEQS3:柔らかさ保証
(Tenderness Guaranteed)の3つに格付けされ、基準を満たさないこれら以外の牛肉は規格外となる。

 MSAの格付けは、統一の格付けロゴ(商標)が用いられ、食肉処理場、卸売業、小売業およびフードサービス
業などがこれを使用する場合には、そのMSAの認定を受ける必要がある。

 MLAによる2005/06年度MSA実績報告書によると、同年度におけるMSA格付け実施頭数は、645,134頭
(2005/06年度の豪州における肉用牛総と畜頭数は、840万頭(見込値))で前年度比2.9%増、2005年でみると
前年比9.4%増となっている。認定食肉処理工場数は、年度当初時点で34工場、年度末時点で38工場となって
いる。また、MSA認定評価人についてみると、独立の評価人は、2000年の企業雇用格付人導入後、減少し、す
でに90%以上が企業雇用の評価人であることから、2006年6月30日をもって独立の評価人による格付けは廃止
された。

 4 販売価格、販売先との関係

 MLAが2006年7月から実施している価格調査結果によると、卸売および小売段階において、いずれもMSA規
格牛肉について価格優位性が確認されたとしている。2006年7〜9月の結果についてみると、卸売段階において
は、ボックスド・ビーフにおいて6%、イヤリング・グレインフェッド部分肉で15.7%、同グラスフェッド部分肉で17.9%、
MSA規格表示のある牛肉がそれ以外を上回った。また、小売段階においては、ステーキで平均11%、MSA規
格表示のある牛肉がそれ以外を上回っていると報告されている。
 

MSA等級区分

Tenderness Guaranteed
(軟らかな保証)

Premium Tenderness
(上級の軟らかさ)

Supreme Tenderness
(最上級の軟らかさ)

良品質、毎日の食卓に軟らかい牛肉を

肉汁に溢れる軟らかさは、特別な料理やおもてなしの一品として

最上の逸品、口の中でとろける風味に満ちた牛肉。最上級ではあるがため供給は少なく、流通は限定される

食味品質基準:EQS3

食味品質基準:EQS4

食味品質基準:EQS5


 5 流通業者による商業的利用価値、消費者による選択ツールとしての認識度合

 前述のMLA実施の価格調査結果によると、卸売段階においては、MSA規格表示のある牛肉について85%が牛
肉の品質が良好またはそれ以上であると評価されたのに対して、それ以外の牛肉では42%であった。また、小売段
階においては、MSA規格表示のある牛肉について90%が良好またはそれ以上であると評価されたのに対して、そ
れ以外の牛肉では75%となったとされており、いずれの流通段階においてもMSA牛肉の品質の優位性が認められ
ているといえる。

 また、消費者による認知度については、小売段階においてMSA規格の統一格付けロゴが使用されていることから、
消費者にとって牛肉の選択ツールとなっているとみられる。

 なお、豪州国内におけるMSAの普及状況についてみると、1999年の制度導入以来、MSAに基づく格付け頭数は
増加傾向にある。しかしながら、2006年10月現在のMSA認定食肉小売店舗数は685店舗に達しているものの、国
内の牛肉流通の過半を占める大手量販店においては、コスト面などでの問題により、まだMSA制度導入には至っ
ていない状況にあるとみられる。


食肉小売店では、牛肉にMSA統一格付けロゴの入ったシールが貼られ販売されている。

 6 その他の特筆すべき事項

 豪州で開発されたMSAモデルが、豪州以外の国の消費者にとってどの程度汎用性があるかについて、米国、韓
国、アイルランド、日本および北アイルランドといった国(地域)で調査が行われており、今後、MSAのグローバルな
普及に向けた取組みが進められている。




3.米国 ― ワシントン駐在員事務所   唐澤 哲也、郷 達也

 1 格付け制度の概要および歴史

 (1)概要

 米国における牛肉の格付けは、すべての牛由来の牛肉を対象に、米国農務省・農業マーケティング局(USDA/
AMS)により実施されている。格付けは、任意であり、格付け費用は受益者負担である。また、AMSでは、肉用生
体牛についても牛肉同様に基準を定め、格付けを実施しており、牛肉・肉用牛の生産および販売促進の一助となっ
ている。

 (2)歴史

 牛肉格付け制度の歴史をみると、1916年、市場において枝肉を同一の基準で評価することを目的に、格付けの
「仮基準」が考案されて以来、長い歴史を有する。26年に「牛枝肉格付けに関する公式基準」が公表され、翌27年か
ら公式の肉質格付けが開始された。65年以降、歩留まり格付けも並行して行われるようになり、89年には、肉質格
付け、歩留まり格付けのいずれかを選択することも可能となった。

 2 格付け制度の運用実態

 牛肉の格付けは、「肉質等級(Quality Grade)」と「歩留まり等級(Yield Grade)」に分類される。肉質および歩留ま
り両方の等級の格付けが行われるわが国とは異なり、去勢牛、未経産牛、経産牛および若齢雄牛由来の牛肉に
ついては、肉質格付け、歩留まり格付けのいずれか一方の格付けを行うこともでき、需要者が用途に合わせて必
要とする格付けのみを選択出来る仕組みとなっている。ただし、雄牛由来の牛肉については、歩留まり格付けの
みが行われる。

 肉質等級および歩留まり等級の分類方法は、以下のとおりである。

 (1)肉質等級(Quality Grade)

 肉質等級は、枝肉の成熟度(肉色、きめ、締まり)と脂肪交雑の組み合わせによって決定される。

 去勢牛および未経産牛(以下、若齢肥育牛という)は、肉質の良い順に、(1)プライム、(2)チョイス、(3)セレク
ト、(4)スタンダード、(5)コマーシャル、(6)ユーティリティ、(7)カッター、(8)キャナーの8種類の等級に分類され
る。また、経産牛は、(1)プライムを除く7種類、若齢雄牛は、(1)プライム、(2)チョイス、(3)セレクト、(4)スタン
ダード、(5)ユーティリティの5種類にそれぞれ分類される。

 成熟度と脂肪交雑の関係は、以下の図1のとおりであるが、成熟度は、A〜Eの5段階で判定され、A、B、Cと右
に行くほど度数は進む。また、脂肪交雑は、12−13肋骨間のロース芯の断面により、「やや多い」「中度」「適度」
「少ない」など7段階に分類される。例えば、米国における牛肉のマーケティングの標準となっているチョイス級につ
いてみると、必要とされる基準は、成熟度「A」の「中度」〜「少ない」および成熟度「B」の「中度」〜「適度」までとな
っている。

 (2)歩留まり等級(Yield Grade)

 一方、歩留まり等級は、(1)皮下脂肪、(2)腎臓、骨盤・心臓への脂肪付着度、(3)ロース芯面積、(4)枝肉重
量によって決定され、歩留まりの良いものから順に1〜5までの5段階となっており、歩留まり1が、最も赤身の歩
留まりが良い(脂肪の割合が少ない)ことを示している。
 

肉質等級における脂肪交雑と成熟度の関係

 3 等級と卸売価格の関係

 格付け制度において主要な等級であるチョイス級とセレクト級の2005年平均卸売価格(カットアウトバリュー、600
〜900ポンド)は、それぞれ100ポンド当たり143.98ドル、同135.56ドルと6%程度の価格差があった。

 近年におけるそれぞれの価格比の推移を月ごとにみると、バーベキューシーズンを迎え、ステーキ用などの牛肉
需要が高まる4〜5月に価格差が広がる傾向にある。干ばつの影響など特殊事情を除くと、毎年ほぼ同様の値動
きをしていることからも、格付け制度の目的の一つである市場原理の維持が十分に果たされているものと考えられ
る。

 また、年次別では、2004年初頭以降、チョイス級とセレクト級の価格比が一時縮小した。これは、2003年末のBS
Eの確認により、それまでチョイス級以上を主要輸入製品としていた諸国で輸入停止措置が採られたことが一因と
考えられる。しかし、2005年以降は、国内の堅調な景気を背景に、消費者の高品質部位に対する需要の高まりな
どを受け、等級による価格比は拡大傾向にある。2006年12月15日現在までの年平均価格比は、2005年比で約6
割増、2004年比では約2倍にまで広がっている。

 さらに、チョイス級とセレクト級の卸売価格比を部位別にみると、ロイン、リブといった脂肪交雑の高い部位での
価格差が顕著となっている一方、ラウンド、チャック、ブリスケットなどでは大きな価格差は見られない。
 

 

チョイス級・セレクトの部位別卸売価格比(2002〜2006年)

 

 4 流通業者による商業的利益価値、消費者による選択ツールとしての認識度合い

 米国における牛肉格付け制度は、歴史的にみると、牛肉パッカーと卸売り、スーパー、外食産業間の取引上
の評価要素という意味合いが強く、生産者とパッカー間の評価要素として用いられることはそれほど多くなかっ
た。これは、米国における肥育牛の取引形態が、スポット市場(相対取引および家畜市場取引)におけるロット
ベースでの生体取引が主流となっていたため、牛個体ごとの肉質などを基準とした価格評価を行うことが困難
であったためである。しかし、近年では、パッカーと肥育牛生産者の契約取引において、チョイス級の割合など
肉質等級に対するプレミアムが支給されるなど、生産者とパッカー間の評価要素としても格付け実績が重要視
される傾向にある。

 一方で、消費者に対する格付け制度の浸透度は、USDAが、HP上で牛肉格付け制度に関する詳細な情報
提供を行うなどその活用を訴えており、また、各業界団体でも、付加価値の高い牛肉製品のPR活動の推進
に利用するなどの事例が見受けられる。

 

付加価値を高めるため、国内向けのみならず海外向けの牛肉にも「USDAチョイス級」を示すロゴが活用されている

 5 格付け状況

 (1)格付割合は生産量の約8割、制度変更に伴い上昇傾向

 2005年において、米国では3,254万頭の成牛がと畜され、このうち97.8%(頭数ベース)が連邦政府による枝肉
検査を受けている(注1)。また、牛肉格付けの対象となる若齢肥育牛および経産牛がこれらの98.4%(全と畜
頭数の96.3%)を占めている。

 USDAによると、84.1%(枝肉重量ベース)の連邦検査枝肉が格付けを受けているとのことであり、米国産牛肉
全体で見ても格付け割合は約8割に上っている。特に、若齢肥育牛については連邦検査枝肉の96.0%が格付け
を受けている(注2)

 65年に歩留り格付けが導入されて以降、連邦検査枝肉の格付け割合はおおむね50%台で推移してきたが、90
年前後に大きく上昇した後は、80%を超える水準で安定的に推移している。これは、89年にそれまでの制度を変
更し、肉質格付けまたは歩留まり格付けのいずれかを選択することが可能になったことが影響したものと考えら
れる。

 (2)大半が肉質と歩留まりの両方を格付け

 前述のとおり、89年以降は、肉質格付け、歩留まり格付けのいずれかを選択することが可能となったが、現在
では、大半の枝肉が両方の格付けを受けている。2005年の実績では、格付けを受けた枝肉のうち、肉質格付け
のみを受けたものは4.1%、歩留まり格付けのみを受けたものは3.7%であり、実に92.2%は両方の格付けを受
けている。

 なお、肉質等級はパッカーが出荷農家に支払いを行う場合や卸売業者に販売する際に活用されているが、歩
留り等級は主に出荷農家への支払いにのみ活用されているようである。

 (3)格付け結果と近年の傾向

 若齢肥育牛の枝肉における肉質格付けの結果をみると、2005年においては最も脂肪交雑の高いプライム級が
2.9%、次いでチョイス級が52.9%、セレクト級が36.6%となっており、これを下回るものまたは格付けを受けない
ものも7.6%あった。96年以降の10年間をみても、日本向け牛肉の主流であるチョイス級以上の割合は55〜57%
前後で安定しており、肉質については特に大きな変動は見られない。

 一方、歩留まり格付けの結果をみると、2005年には最も赤肉歩留りの高い#1が10.5%、次いで#2が40.4%、
#3が39.9%、#4が8.0%、#5が1.0%となっており、#2と#3で全体の約8割を占めている。全体的な傾向と
して、10年前に比べて脂肪付着の多い枝肉の比率が増加しており、特に#4以上の牛肉の割合は96年の1.6%
から2005年には9.0%にまで上昇している。

 なお、格付け結果の季節変動はさほど大きくないものの、比較的月齢の若い肥育牛が出荷される春先には、
赤肉歩留まりの高い歩留り格付け#2以下の比率が高くなる傾向がある。


 (注1) 州政府による検査を受けたものが1.7%、自家と畜など検査を受けないものが0.5%ある。

 (注2) 経産牛は全と畜頭数の約15%を占めるが、その格付け割合は0.2%しかない。


 


4.EU ― ブリュッセル駐在員事務所   山ア 良人、和田 剛

 EUにおける牛肉の格付けは、枝肉の外見から判断可能な「枝肉の形態」および「枝肉の脂肪の付着具合」を
判断要素としており、「肉質」も判断要素とする日本などの格付けとは異なる。この制度の目的は、EU域内の牛
肉市場の状況を管理するために、統一した格付け基準に基づく格付けを実施し、同一規格の枝肉価格の比較
ができるようにするためである。また、この価格に基づき、市場介入買い入れおよび民間在庫補助の実施の判
断が行われている。

 1 格付けの歴史と概要


 EUの牛肉(成牛)の格付け制度に関する規則は、1980年に成牛の価格に関する規則が導入され、これに伴
い、81年から成牛の枝肉格付けに関する理事会規則EEC/1208/81、またその規則の内容を追加する委員会
規則EEC/2930/81が規定されたことに始まる。現在、両規則は、それぞれ理事会規則EC/1183/2006および委
員会規則EC/103/2006で規定されている。

 (ア)格付けの判断要素

 本制度での格付けの判断要素は、「枝肉の形態」および「枝肉の脂肪の付着具合」の2つであり、これらを勘
案して評価を実施することとしている。「枝肉の形態」は、S、E、U、R、O、Pの6段階(EUROP等級)、「枝肉
の脂肪の付着具合」は、1、2、3、4、5の5段階に区分され、これらの組み合わせによって格付けされる。

 (1) 枝肉の形態

 「枝肉の形態」は、筋肉の発達具合や輪郭により決定され、枝肉の輪郭がふくよかで、筋肉が発達しているも
のから順にS、E、U、R、O、Pとなる(各区分の写真(写真1)、定義(表1)を参照。)なお、Sは、現在ベルギー
でのみ使用されており、主にベルジアンブルー種のような「もも」の筋肉が非常に発達(ダブルマッスル)した枝
肉に対して判定される。
 

資料:欧州委員会

写真1

表1 「枝肉の形態」の概要


 (2) 枝肉の脂肪の付着具合

 「枝肉の脂肪の付着具合」は、脂肪の付着がほとんどないものから順に1、2、3、4、5(各区分の写真(写真2)、
定義(表2)を参照。)となる。

資料:欧州委員会

写真2

表2 「脂肪の付着具合」

 なお、EU加盟国は、各要素区分をさらに最大3つまで細分化することが可能となっている。例えば、イギリスで
は、「枝肉の形態」の「U」、「O」、「P」の区分をそれぞれ「+」と「−」に、「枝肉脂肪の付着具合」の「4」、「5」の区
分をそれぞれ「H」と「L」の2段階に細分している。

 また、格付けを行う枝肉は、性別、月齢により、以下の5段階に区分することとなっている。

 A.2歳齢未満の非去勢雄牛の枝肉

 B.その他の非去勢雄牛の枝肉

 C.去勢牛の枝肉

 D.経産牛の枝肉

 E.その他の雌牛の枝肉

 (イ)格付けの実施時期、表示、検査

 格付けに関する規則およびその詳細を規定する規則(委員会規則EC/344/91)では、格付けはと畜後できる限
り早く行うこととされ、と畜作業の開始から、少なくとも1時間以内に実施することと規定されている。なお、枝肉の
外見でのみ格付けが行われることから、日本のように枝肉の一部を切断して枝肉の断面を確認するような作業
は行わない。

 と畜された枝肉には、個体識別情報、「枝肉の形態」、「枝肉の脂肪の付着具合」の格付け情報に加え、性別、
月齢の区分を示す表示を枝肉の外側に表示することとなっている。(写真3参照)

 また、加盟国は、全国または一部の地域で機械による自動格付け技法の実施が可能となっており、アイルラン
ド、フランスなどでこの技法が適用されている。

 格付けが適切に実施されているかの現地検査は、欧州委員会の専門家および加盟国により指名された専門家
で構成された委員会により実施されることとなっている。
 


写真3 枝肉に貼付された表示。「DS2」は、「経産牛」で格付けが「S2」であることを示す。ベルギーのと畜場の例

 2 運用実態、実績

 イギリスを例にとってみると、格付けに関する主管当局は、イギリス環境・食料・農村地域省(DEFRA)である。
EUの規則では、格付けを行う者は、各加盟国政府により資格が与えられることとなっている。同国での格付者の
7割は、イギリス食肉家畜委員会(MLC)の職員であり、格付者を養成する訓練も行っている。(写真4)残りの3
割はと畜場の職員である。また、EU域内で統一的な格付けが行われるよう、EUの規則では、年間を通じて週当
たり75頭以上をと畜すると畜場を対象に四半期ごとに格付実績の検査を行うこととなっている。イギリスの場合は、
この検査をDEFRAの行政機関の一つであるRPA(Rural Payment Agency)が行っている。

 同国で格付けされた枝肉の実績を見ると、R4Lが最も多く、全体の約23%を占める(2005年)。「枝肉の形態」で
見ると、RとOで全体の約85%を占め、「枝肉の脂肪の付着具合」では、3と4で約90%を占めている。


写真4 格付けを行うMLC職員


 3 等級と販売価格、販売先との関係

 EUにおける格付けの等級と枝肉卸売価格の関係は、R2、R3、U4の枝肉価格を基準となる平均価格とすれば、
これより「枝肉の形態」が良い格付けのものには、プレミアムの価格を計上し、それ以外では基準の価格から減額
するという手法をとるのが一般的である。流通・小売段階の価格設定においては、この卸売段階の枝肉の価格の
違いが反映されていると考えられる。

 なお、「枝肉の形態」の「U」と「R」では「U」の方が食肉の歩留まりは高いが、枝肉卸売価格を比べると、ベルギー、
フランス、イタリアなどでは「U」のほうが価格が高いのに対し、ドイツ、オーストリア、ポルトガル、イギリスなどでは
「R」のほうが価格が高くなっており、どちらを好むかは加盟国により傾向が異なる。これは、格付け要素ではない
「肉質」が関係している可能性、すなわち、「R」のほうが、その加盟国にとって品質の高い(好まれる)肉であるた
めと考えられる。

 4 流通業者による商業的利用価値、消費者による選択ツールとしての認識度合い

 一般的にEUでは、流通・小売段階において、枝肉の格付け情報が伝達されることはなく、また、EUの消費者は、
枝肉に格付けがあることはほとんど知らないというのが現状である。




5.タイ ― シンガポール駐在員事務所   斎藤 孝宏、林 義隆

 1 格付け制度の歴史と概要

 タイにおける牛肉格付けは、2004年に農業・協同組合省国家農産物・食品基準局(ACFS)によって定められた規
格(以下「規格」という。)によっている。この規格が定められた背景には、(1)国内取引における基準を定めること、
(2)将来的に輸出することを視野に入れ、輸出相手国の非関税障壁を防止すること、(3)海外からの不適格品の輸
入を防止すること−がある。

 ACFSは、2004年の規格制定後、5年間は試行期間とし、その間に修正の必要な事項が発見されれば、修正する
としている。素案はコーデックス、WHOの関連情報を参考とし、豪州および米国の格付け基準をタイの実態に合うよ
うに調整したものとなった。これらの作業は専門家の委員会を設置して行った。

 したがって、現時点では格付け基準は存在するものの、強制力はなく、それを全国的に運用する制度整備には至
っていないが、同国の食品安全と国際化への対応として注目される。

 2 運用実態、実績

 タイ国内でACFSの定めた牛肉格付け制度を実施していることが確認されているのは、バンコクの北西ナコンパト
ム県のカンペンセン肉牛生産組合(畜産の情報「海外編」2006年2月号参照)1カ所である。2004年から本制度を導
入し価格決定の際の基準としており、2005年の格付け実績は次のとおりである。なお、グレードは次表のように、5段
階の月齢と脂肪交雑等級との組み合わせを横断的に区分して、品質の高い順から、最も良い(Prime)、非常に良い
(Choice)、良い(Select)、普通(Commercial)および使用可(Utility)の5段階に区分されている。当組合のほかには、
タイ東北部サコンナコン県のポンヤムカイ肉牛組合で牛肉格付け制度を実施しているが、こちらは組合独自の格付
けを行っている。

タイにおける牛肉各付け区分


牛肉各付け状況(2005年)

 3 等級と販売価格

 カンペンセン肉牛生産組合のKU牛肉は、☆印数によって区分けされたグレードによって卸売価格に差を付けて
いる。グレードの普通(Commercial)と使用可(Utility)は(二つ星)、良い(Select)は(三つ星)、最も良い(Prime)と
非常に良い(Choice)が(四つ星)となっている。この星の数により牛肉に価格差を設けており、例えば、ストリップ
ロインでは、1キログラム当たり、二つ星で475バーツ(約1,568円:1バーツ=3.3円)、三つ星で500バーツ(約1,650
円)、四星で520バーツ(約1,716円)となっている。また、この☆印は最終製品のパック上にも提示されている。

 一方、ポンヤムカイ肉牛組合のタイフレンチ牛肉は、独自グレードによって価格差を設定しているものの、製品
上への表示は行っていない。

 


写真1 カンペンセン牛




写真2 KU牛肉

 4 牛肉の選択ツールとしての役割

 (1)流通業者による商業的利用

 KU牛肉は、生産組合が卸売り機能を持っており、組合外の中間業者が存在しないので、格付け制度の商業
的利用価値は、購入者へのグレードによる価格差の説明が主なものとなっている。

 (2)消費者による認識度合い

 KU牛肉の場合、星印数を製品パックに提示しており、それが肉質との相関関係を表しているので、徐々に消
費者に浸透するものと期待される。

 5 その他特筆すべき事項

 現在は、9月のクーデターの後で、政治的には再度民主化への過渡期であるが、経済への影響は最小に抑
えられ、本年もここまで5%近いGDPの伸びが記録されており、一部の富裕層を中心に焼肉などでの牛肉消費
の増加が報告されている。

 このため、今後、同国での牛肉に対する要求は、量だけではなく質に対しても増すものと見込まれ、格付け制
度確立の必要性がますます高まるものと考えられる。



6.アルゼンチン ― ブエノスアイレス駐在員事務所   松本 隆志、横打 友恵

 1 格付け制度の歴史

 アルゼンチン政府は、牛肉に付加価値を加えることを目的として、1941年に牛肉国立委員会(JUNTA)を設立
し、JUNTA職員を各食肉処理加工場に派遣し、格付けを行わせていた。その後、91年4月から、各食肉処理加
工業者の職員が格付けを行い、JUNTAは格付け結果を監督する機関に改められた。

 さらに政府は、80年代に発生したインフレを抑制するために、91年から兌換(だかん)制度を採用するとともに
自由経済政策をとり、これまで行ってきた農産物価格への介入などを行わないことした。このため、91年12月に
JUNTAは解散した。

 なお、JUNTA解散後は格付け結果を監督する公的機関は無かった。

 97年に食肉処理加工業者の脱税防止を目的とした国立農牧取引管理事業団(ONCCA)が設立され、その業
務の1つとして格付け結果の監督が加えられた。現在、ONCCAの監督の下で、各食肉処理加工業者の職員が
格付けを行っている。なおアルゼンチンでは、格付けは義務ではないが、流通・小売り業者が牛肉を購入する際
の判断材料の1つになるため、ほぼすべての食肉処理加工施設において格付けが行われている。

  2 格付けの手順

 格付け担当職員は、処理直後の枝肉の主に後四分体を観察することより、枝肉を切断すること無く、格付けす
る。

 格付け結果は、「歩留まり(骨と筋肉の割合、筋肉の量・形・輪郭)」と「脂肪等級(皮下脂肪の厚さ、広がりと均
一さ、色沢)」の組み合わせで表示される。去勢牛で歩留まりN以下、未経産牛および経産牛でD以下は缶詰向
けなど加工用となる。また、脂肪等級が1および2が適度とされ、0は過少、3および4は過多と判断される。

 格付けされた枝肉は、格付け結果や群番号などが記載されたカードを貼付され、次に冷却、部分肉処理の工
程に進む。




格付けの様子(ブースの中にいる者が格付けを実施)




枝肉に張り付けられたカードの内容を写真の右の枝肉で説明すると、以下のとおりとなる。


151(半丸重量) 13295 (群番号)
21 (処理番号)
J1 (格付け結果)
ES (冷凍肉)
542 (格付者コード)

  3 格付け担当職員

 格付け担当職員になるためには、各食肉処理加工施設で格付けに関する業務に携わった経験を有した上
で、ONCCAが行う研修を受講し、試験に合格しなければならない。

 試験は、受験者が200頭程度の枝肉の格付けを行い、その結果の正確さをONNCA職員が判定することに
より合否が決まる。「歩留まり」や「脂肪等級」について約1割の誤差までなら合格の範囲であるが、未経産牛
と去勢牛の枝肉を取り違えるなど基本的な部分で間違いがあると不合格となる。合格率は約三分の二であり、
不合格者は再度研修を受ければ、再受験することができる。

 合格者は、格付けを行う食肉処理加工施設名をONCCAに登録することが義務付けられる。ONCCAは、格
付け結果を調査することができ、格付け結果が不当であると判断した場合、格付け担当職員の登録を取り消
すことができる。登録を取り消された者は、再度研修を受講し、試験に合格することにより、格付け担当職員と
なることができる。

  4 牛肉格付け結果の運用実態

 アルゼンチンでは、格付け結果が取引価格に大きな影響を与えることはないが、以下のように利用されてい
る。

 (1) 食肉処理加工業者による利用

 格付け結果が生体牛買取価格に反映される場合がある。ある肉用牛経営から購入した去勢牛を格付けした
結果、加工用にしか向かない歩留まりN以下が大多数であった場合、去勢牛買取価格が低くなるといった場合
である。

 (2) 流通・小売り業者による利用

 流通・小売り業者が食肉処理加工業者から牛肉を買う時には、牛肉格付け結果も踏まえつつ、自身の顧客
の好みを考慮する。このような場合は、格付け結果は取引価格に大きな影響を与えない。なお、小売り段階に
おいては、部位名や分類(去勢牛、経産牛など)は表示されるが、格付け結果は表示されていない。

  5 ヒルトン枠牛肉

 EU向け一定基準を満たす骨なし高級生鮮牛肉(以下「ヒルトン枠牛肉」)に関する関税割当制度により、アル
ゼンチンには1年間(当年7月1日から翌年6月30日まで)で28,000トンが割り当てられている。政府は、食肉処
理加工業者ごとにヒルトン枠牛肉の配分数量を農牧水産食糧庁(SAGPyA)決議により毎年定めている。

ヒルトン枠牛肉の品質

 EUとアルゼンチンの覚書によるもののほか、EU輸入業者の要求により、以下の品質の牛肉がヒルトン枠牛肉として一般に輸出されている。

 (覚書によるもの)

 (1)アルゼンチンの牛肉格付けU2以上(去勢牛)、B以上(未経産牛)であること

 (2)放牧肥育されていること

 (3)トレーサビリティが確保されていること

 (EU輸入業者の要求によるもの)

 (1)22〜24カ月齢の肥育牛であること

 (2)アバディーン・アンガス種やヘレフォード種など高品質な肉用種であること

 (3)ヒレ、ロース、モモの部位であること
  など



 (1)アマンカイ社の概要

 このヒルトン枠牛肉について調査するため、アマンカイ社を訪問した。

 同社の食肉処理施設では475名の従業員で1日当たり約100トンの生鮮牛肉を製造している。

 同社は、これまで主にアルゼンチン国内市場向けに牛肉を提供してきた。しかし、世界的な牛肉需要の高ま
りから、各国の要求する衛生基準を満たすように施設の改修を徐々に行い、輸出用牛肉も取り扱い始めた。
他の牛群と区分するための仕切のある係留場や広くて明るく衛生的な施設を設置したことから、2006年からEU
に向けた牛肉輸出も可能となった。

 今後の牛肉輸出への取り組みについて尋ねたところ、「現在では、当社の牛肉の7割が輸出に仕向けられて
いる。輸出先はEU、ロシア、アフリカ、中近東であり、今後はさらに輸出を増やしていきたい」とのことであった。

 (2)EU向け牛肉の品質管理

 EUとアルゼンチンの覚書の中で、格付け結果が要件の1つとなっていることから、ヒルトン枠牛肉については、
格付けは義務ということになる。またヒルトン枠牛肉以外にもEU向けに牛肉を輸出しているが、加工処理段階
ではヒルトン枠牛肉、ヒルトン枠外EU向け牛肉といった区別は行われず、すべてEU向け牛肉として同様に扱
われている。

 EU向け牛肉として処理される肉用牛は、EU向け専用の係留場で管理される。枝肉処理もEU向け牛群だけ
で時間を区切って行われ、格付けされた枝肉は、EU向け専用の冷蔵室で保管される。EU向け牛肉の部分肉
処理は、20〜30頭単位の群ごとに行われる。部分肉処理の段階で、ヒレ、ロース、モモ以外のEU向けとはなら
ない部位も同時に発生するため、部分肉処理を行う部屋にはEU向けとその他の地域向けの2つのベルトコン
ベアが設置されている。EU向けとなるヒレ、ロース、モモは、真空パックされ、群番号が記載されたシールが貼
付される。

 その他の地域向けベルトコンベアに乗せられた部分肉も、真空パックされ、アルゼンチン国内やロシア、アフ
リカ、中近東に輸出される。需給の関係から、EU向けとなるヒレ、ロース、モモがアルゼンチン国内に仕向けら
れる場合もあるが、小売段階では通常の牛肉と同様に扱われ、高級牛肉などの表示は行われない。


真空パックされたEU向け牛肉、左下の54419が群番号


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