2007年第1四半期の牛肉輸入量は前年同期比8.6%減


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● オセアニア地域からの輸入量減少が、輸入量全体にも影響 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると、2007年第1四半期(1〜3月)の牛肉輸入量は前年同期比8.6%減の77万トンとかなりの程度の減少となった。国別の内訳を見ると、輸入国第1位のカナダが同0.1%増の22万トンとわずかに増加したもの、第2位の豪州、第3位のニュージーランドはそれぞれ同13.8%減の16万6千トン、同8.3%減の15万トンと軒並み減少した。


● ● ● 経産牛のと畜頭数増で、2007年第1四半期の生産量は前年同期比2.5%増 ● ● ●

 このような牛肉輸入量の減少は、米国内におけると畜頭数の増加が影響しているとされる。USDAによると、2007年第1四半期のと畜頭数は、前年同期比4.2%増の817万5千頭と増加した。特に、乳用経産牛のと畜頭数は同12.6%増、肉用経産牛は昨年の干ばつの影響などで同18.1%増と増加したことなどにより、同期の生産量は同2.5%増の282万8千トンと増加した。

 しかし、USDAの予測によると2007年全体の生産量は前年比0.6%増の1,193万6千トンにとどまるとしている。

生体牛輸入頭数の推移

資料:USDA「Livestock, Dairy and Poultry Outlook」

 

● ● ● 2007年第1四半期の生体牛輸入は、メキシコ産は減、カナダ産は増 ● ● ●

 USDAによると、2007年第1四半期(1〜3月)の生体牛輸入頭数は前年同期比11.2%減の62万9千頭となった。輸入国別に見ると、メキシコが同29.5%減の25万8千頭と大幅に減少したのに対し、カナダは同8.3%増の37万1千頭と増加した。2007年第1四半期時点での、生体牛輸入頭数全体に占めるカナダ産は59%となり、再び輸入国首位となった。

 USDAによると、メキシコでは牧草状態が良好なため、同国内での若齢牛の繁殖用の留保が進んでいることから、肥育素牛の輸入頭数の大幅な減少につながったとしている。一方、カナダの内訳を見ると、440〜700ポンドの素牛が同7.3%減の2万6千頭、と場直行牛が同16.8%増の25万頭なるなどと場直行牛の増加が顕著となった。これは、米国での肥育牛価格が2007年に入り好転しており、カナダの肥育牛価格に比べて利益性が高いこと、カナダのと畜場の人件費上昇、などが要因とされる。

 米国の肥育牛価格(去勢、チョイス級、1,100〜1,300ポンド)は、2007年3月以降は前年同月をかなりの程度上回っており同年5月は前年同月比21.4%高の100ポンド当たり95.9ドル(キログラム当たり260円:1ドル=123円)となった。USDAによると、2007年全体の生体牛輸入頭数は220万頭が見込まれており、2008年にはカナダとメキシコでの牛飼養頭数の減少から輸入頭数も減少するとされている。


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