2007/08年度の世界のトウモロコシ在庫、25年ぶりの低水準−生産量は過去最高


◇絵でみる需給動向◇

● ● ● 世界のトウモロコシ需要は、3年連続で生産を上回る ● ● ●

 世界のトウモロコシ生産量の約4割を占める米国で、作付面積や生産量が増加する一方、同国のエタノール需要増から、世界におけるトウモロコシの需給がひっ迫している。米国農務省(USDA)が5月に公表した「世界の穀物市場および貿易(Grain:World Markets and Trade)」によると、世界の2007/08年度のトウモロコシ需給は、生産量が記録的な7億6,650万トン(主要国別生産量は巻末資料参照)と見込まれるものの、消費量が3年連続して生産量を上回って在庫が取り崩されることとなり、世界の期末在庫は前年度比3.2%減の9,025万トンと見込まれている。これは、1983/84年度以来25年ぶりの低水準である。これにより、2007/08年度の在庫率(期末在庫÷消費)は、同1.1ポイント減の11.7%と見込まれている。


● ● ● 米国、過去最高の生産量となる一方、輸出量は前年度の1割減 ● ● ●

 世界の2007/08年度のトウモロコシ貿易量は、記録的であった2006/07年度並の8,379万5千トンと見込まれている。米国における2007/08年度の生産量は、過去最高となる前年度比18.3%増の3億1,650万トンと見込まれているが、輸出量は、エタノール生産向けなど米国国内の消費量の増加から、前年度を1割程度下回るものと見込まれ、世界の貿易量に占める米国の割合は低下する。このことから、米国からの輸出量の減少を補完する形で、ブラジル、アルゼンチンなどからの輸出量が増加し、それぞれ前年度比13.0%増、30.8%増と見込まれている。

主要国におけるトウモロコシ輸出量
資料:USDA「Grain:World Markets and Trade」2007年5月
注:貿易年度は10月〜翌年9月

 中国における2007/08年度のトウモロコシ輸出量は300万トンと見込まれ、純輸出国としてのポジションは維持するものの、その数量は徐々に減少する。また、世界で日本に次ぐ輸入国となるメキシコ(2006/07年度までは韓国が世界第二の輸入国)では、同年度の輸入量の急激な増加が見込まれており、前年度を二割上回る1,020万トンと予測されている。

主要国におけるトウモロコシ輸入量
資料:USDA「Grain:World Markets and Trade」2007年5月
注:貿易年度は10月〜翌年9月


● ● ● 低水準の在庫を背景に、今後の在庫次第で価格は敏感に反応 ● ● ●

 トウモロコシ価格は、低水準の在庫を背景に、今後も高値圏で推移すると見込まれている。

 USDAが5月31日に公表した月例の「農産物価格(Agricultural Prices)」によると、5月のトウモロコシ平均農家手取価格は、エタノール生産向けや輸出需要の増加により、前月水準を1ブッシェル当たり9セント上回る3.48ドル(約428円:1ドル=123円)となり、前年同月の同2.17ドル(約267円)に比べ6割高となった。また同月の大豆の平均農家手取価格は、前月に比べ1ブッシェル当たり27セント高の7.15ドル(約879円)となり、前年同月の同5.68ドル(約699円)に比べ25.9%高くなった。このように飼料穀物の農家手取価格は前年比では総じて大幅に高い水準によるものの、前月比ではトウモロコシと大豆はやや上げ、小麦やソルガムはやや下げている。

 USDAでは、今後さらなるトウモロコシ在庫の減少が見込まれれば、需給がひっ迫していることから、価格は敏感に反応するとしている。


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