欧州委ボエル農業委員、2008年の農業政策の課題について提言


2008年は農業分野にとって重要な年

 欧州委員会のフィッシャー・ボエル委員(農業・農村開発担当)は5月7日、ブリュッセルで開催された欧州議会の農業委員会会合において、2008年の主な農業政策の課題について、以下のとおりに挙げた。

1 共通農業政策(CAP)のヘルスチェック(制度検証)

2 ワイン、果実、野菜および綿花の制度の見直し

3 ドーハラウンドが2007年中に決着した場合、その結果に基づく政策の実施

 また2008年は、2013年以降の新たなCAPの方向性を形作る予算を検討する上で重要な年になるであろうとしている。


ヘルスチェックの実施

 「ヘルスチェック」は、2003年の改革を経て実施している現行のCAP制度について、これらが適切に機能しているかを検証するもので、見直しはあくまで簡素化など制度をより機能させるため必要に応じて行うものである。

 同委員は、この「ヘルスチェック」を2008年の主要な課題の一つに上げ、取り組むべきポイントを以下のとおりに挙げた。

1 EUの農業分野における展望を明らかにする

2 単一支払制度(Single Payment Scheme:SPSの簡素化

3 市場政策の見直し(特に生乳のクオータ制度の見直し)

 今後、国際市場におけるEU農業の競争力の強化が必要であるが、この「ヘルスチェック」を行うことにより、生産者が直面するいくつかの問題に取り組む機会を与えてくれるであろうと述べている。

 これらの取り組み内容について2007年後半に明らかにし、2008年前半には具体的な法案を提出したいとしている。


クロス・コンプライアンスの改善・簡素化

 また、同委員会は、2007年から取り組む必要のある事項として、CAPの重要な政策の一つであるクロス・コンプライアンスの改善・簡素化を挙げている。この見直し案については、既に欧州委員会から提案されており(海外駐在員情報第762号参照)、その中でも特に大きな関心事項として、いわゆる「10カ月ルール」を挙げている。「10カ月ルール」とは、単一支払制度(SPS)を採用する加盟国において、受給資格を得るために受給前の最低10カ月は対象農地の所有を義務付けているものである。このルールが、輪作や収穫後の土地利用の際、農家が土地を貸借する妨げとなる場合があることから、土地の有効利用のためにも簡素化する必要があり、その方法として以下の内容を紹介している。

1 受給資格の重複を防ぐための確認日の導入

2 さらに土地の譲渡の場合にも、その土地を実際に利用する農家に対する責任の明確化

 同委員会は、これらの改善、簡素化について早急に対応していきたいとしており、今夏、法案を提出し、2008年には実施したいとしている。

 そのほかの2008年の関心事項としては、以下を挙げている。

1 条件不利地域対策に関する法案の準備

2 現在進めている改正を促進するための資金増への対応

3 国際交渉における農業分野の対応策の検討(MERCOSUR(南米南部共同市場)、ACP(アフリカ、カリブ海、太平洋諸国)とのEPA交渉など)


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