ヤギ生産振興計画始動(マレーシア)


年間4万頭前後のヤギを輸入

 マレーシアはイスラム教を国教として定めており、同国の約6割の人々が豚肉を避け、食肉消費の中心は鶏肉や牛肉、そして羊肉やヤギ肉となっているが、畜産物の自給はできておらず、輸入に頼っている。また、ハラルを順守する観点から、これらの反すう家畜が生体で輸入されることも多い。中でもヤギの輸入頭数は、政府の統計によれば、2000〜2003年にかけて年間平均約4万頭となっており、その後も同様の輸入が継続しているものと考えられる。


9MPでヤギは肉用牛と同様の位置付け

 工業化が進展するマレーシアにおいては、農業生産の縮小が食糧輸入増加につながることから、第9次マレーシアプラン(9MP)においても農業分野を同国経済発展の第3のエンジンとして位置付け、その振興を図っているところである。9MPの中でヤギは肉牛とともに油ヤシやゴムのプランテーションでの飼養やフィードロットでの肥育により畜産物の生産拡大に寄与するものとされている。

 アブドラ首相は9MPが公表された2006年の4月に自らヤギ農場に出向いて、2010年の9MPが終了する年までに、目標とする20%の生産増を達成するためには、在来種に換えて優れた遺伝子を持った品種を導入することが重要であると述べている。


換金性の高いヤギ

 ヤギの特性として、同じ反すう動物の牛などと比較して小型であるために、飼い主にとっては扱いやすく、妊娠期間が約150日と短く、多産であるために群れの頭数のコントロールが比較的容易であるとされている。また、食肉としては比較的高値で取引され、換金性に優れているため、小規模農家が預金の代わりとして飼養することが多い。しかしながら、在来種では成長速度が遅いのが欠点とされている。このため、在来種に外国種を交配するか、優れた性質を持つ外国種を導入して繁殖し、生産を拡大しようとの動きが出ている。


ペナン州などヤギ繁殖センター計画

 4月上旬、ペナン地域開発局は、同州のカペラバタスにおいて、3年以内にヤギの育種センターを開設し、食肉用ヤギの交雑種の開発拠点にすると発表した。資金は3億リンギ(105億円:1リンギ=35円)で、政府から拠出されるとし、計画の第1段階として既に豪州産のヤギの飼育を開始、これまでに1千頭以上の繁殖に成功している。また、この計画はアブドラ首相の方針に沿ったものであるとしている。

 同様に、マラッカ近郊のアロルガヤにはハラル製品生産の特別地域とするため、同国最大のヤギ繁殖センター建設計画が持ち上がっている。マレー企業優遇措置であるブミプトラ政策を受ける企業が対象となっており、これまでに20名の繁殖業者が研修を受けたとされている。


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