米国、新たな再生可能燃料の使用基準に関する議論が活発化


再生可能燃料の生産量は現行基準を上回る勢いで拡大中 

 米国では、2005年8月にエネルギー政策法(Energy Policy Act)が成立し、再生可能燃料の使用量を定めた再生可能燃料基準(Renewable fuel Standard:RFS)が設けられた。このRFSにより、ガソリンに混合が義務付けられる再生可能燃料の総量は、2006年の40億ガロンから、2012年には年間75億ガロンまで拡大することとされている。

 再生可能燃料協会(RFA)によると、2006年のエタノール生産量は、前年比25%増の49億ガロンと現行基準の下で見込んでいた水準を大幅に上回っている。また、米国農務省(USDA)は、先に公表した2016年までの長期見通しの中で、2012/13年度のエタノール生産量を前年のRFSと同水準の予測を大幅に上方修正した116億ガロンと見込んでいる。


米上院エネルギー委員会、再生可能燃料基準引き上げ法案を承認

 米上院エネルギー・天然資源委員会は5月2日、「2007年エネルギー安全保障および輸送のためのバイオ燃料法案」を20対3の賛成多数で承認した。

 この法案は3月27日、同委員会のビガマン委員長(民主党)とドメニチ議員(共和党)が提出した超党派によるもので、2005年エネルギー政策法におけるRFSを上方修正することにより、再生可能燃料の使用および多様化の促進を目的とするものである。

 今回の法案では、RFSを2008年の年間85億ガロンから、2022年の360億ガロンまで段階的に拡大するとともに、360億ガロンのうち210億ガロンをセルロース系エタノールなどの新たなバイオ燃料で賄うことを義務付けており、結果としてトウモロコシ由来のエタノール生産を150億ガロン以下に抑えることが可能なものとなっている。

 また、ブッシュ米大統領が本年1月、2007年一般教書演説で掲げた2017年までに石油代替燃料の使用基準を350億ガロンとする方針と比べ、目標年次を5年先に延長したことや液化石炭など再生可能燃料以外のものは除外していることも特徴である。


先進バイオ燃料の開発を通じたエネルギー供給の多様化を推進

 同法案では、「セルロース系エタノール」、「バイオブタノール」や「非従来型のバイオマス原料から生成したその他燃料」を先進バイオ燃料と定義し、これらを増産する手段として、米国エネルギー省(DOE)のバイオエネルギー開発関連予算を2007〜2009会計年度の間に50%増額することを示しており、これを通じてエネルギー供給の多様化を図ることとしている。

 USDAの経済研究所(ERS)が先頃公表した報告書においても、今後のエタノール生産の成長率については、(1)原油およびエタノール価格、(2)トウモロコシなどの原料コスト、(3)科学技術の進展、(4)1ガロン当たり51セント(約16.6円/リットル:1ドル=123円)の租税減免措置や同54セント(同17.5円)のエタノール輸入関税−に加え、RFSが多大な影響を及ぼすとする見解が示されており、本法案の扱いをはじめ、エネルギー関連法案の動向にはさらなる注視が必要と考えられる。

 なお、同法案は今後、5月末までに上院本会議において審議される見通しとなっている。

米上院エネルギー・天然資源委員会「2007年バイオ燃料法案」における再生可能燃料基準

資料:米上院「エネルギー安全保障および輸送のためのバイオ燃料法案(S.987)」


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