2006年の牛枝肉卸売価格、一貫して前年を上回る


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 雄牛枝肉卸売価格、27カ月連続で前年同月を上回る ● ● ●

 欧州委員会が公表した2006年におけるEU25カ国の雄牛(2歳齢以下の非去勢牛(グレードR2とR3の加重平均))および去勢牛(グレードR3とR4の加重平均)の100キログラム当たりの枝肉卸売価格は、一貫して前年同月を上回った。直近の2006年12月はそれぞれ、雄牛が前年同月比4.2%高の318.4ユーロ(約5万1千円:1ユーロ=159円)、去勢牛が同5.0%高の302.5ユーロ(約4万8千円)といずれも前年同月をやや上回っている。

 特に、雄牛の枝肉卸売価格は2004年9月以降、27カ月間連続して前年同月を上回って推移しており、2006年通年の平均価格は、前年比9.9%高の322.4ユーロ(約5万1千円)とかなりの程度上昇した。一方、去勢牛の枝肉卸売価格も、2005年11月以降は前年同月を上回っており、2006年通年では前年比7.4%高の303.3ユーロ(約4万8千円)と雄牛と同様に高値傾向を維持した。

 こうした傾向が続いている要因としては、生産とは切り離した単一の直接支払い(デカップリング)などにより牛肉の域内生産量が減少する中で、牛肉消費量が近年増加傾向で推移していることや、域内外で発生した鳥インフルエンザの影響で一時的に牛肉需要が増加したことなどが考えられる。


● ● ● 下げ止まるも前年との価格差は次第に縮小 ● ● ●

 2006年の雄牛枝肉卸売価格は、ピークとなった3月(338.3ユーロ:約5万4千円)以降は7月にかけて4カ月連続して前月比で下落した。その後は310ユーロ台後半でほぼ安定して推移しているが、2005年の雄牛価格は年後半に大きく上昇したことから前年との価格差は次第に縮小している。2006年3月で最大となった前年との価格差(37.9ユーロ:約6千円)は12月には12.9ユーロ(約2千円)と最小となった。

去勢牛枝肉卸売価格の推移

資料:UECBV


● ● ● 前年を上回る主要生産国の枝肉価格 ● ● ●

 なお、2006年における主要牛肉生産国の100キログラム当たりの肥育牛平均枝肉価格は、EU最大の牛肉生産国のフランスが前年比10.6%高の324.7ユーロ(約5万2千円)、第2位のドイツが同5.1%高の309.8ユーロ(約4万9千円)、第3位のイタリアが同9.0%高の347.3ユーロ(約5万5千円)といずれも昨年より高価格となった。また、第4位のイギリスは、30カ月齢以上(OTM)牛の処分対策が2005年11月に終了したことで、牛肉の流通量の増加による価格の低下が予測されたものの、国内外の強い需要を反映して同9.2%高の287.6ユーロ(約4万6千円)と、価格の伸び率はフランスに次ぐものとなった。

主要牛肉生産国の肥育牛枝肉価格


資料:MLC


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