中国正月を前にAI拡大を警戒


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● ブロイラー生産は前年水準に近づく ● ● ●

 タイ農業協同組合省(MOAC)発表の10月のブロイラー生産量(出荷羽数)は、69万7千羽と前年同月を2.9%下回ったものの、9月の生産量とほぼ同水準で、直近の生産は安定的に推移している。

 また、ひなのふ化羽数および価格の推移を見ると、図1の通りで、ふ化羽数が前年を下回るものの、安定的に推移している。一方、ひな価格は、6〜9月は2004年以降で最も低い水準で推移し、前年同月比40%を下回る水準となっていたが10月には若干上昇し、同50%台になった。

図1 ひなふ化羽数とひな価格


資料: ひなふ化羽数は農業経済局、ひな価格は商務省国内取引局


● ● ● 種鶏輸入のパターンが変化 ● ● ●

 農業経済局による種鶏輸入羽数を見ると、2005年に比べて2006年は月ごとの増減が大きく変化する一方、原種鶏(PS)輸入量が大きく減少している(図2)。輸出元の欧州で鳥インフルエンザ(AI)が発生したことなどの影響がPSの輸入量に変化をもたらしたものと推測される。

図2 種鶏輸入羽数


資料: 農業経済局


● ● ● 卸売価格は前年同月を下回って推移 ● ● ●

 タイ商務省発表による2006年10月のブロイラー卸売価格(生体)は、前年同月比27.2%安の28.1バーツ(約95.5円:1バーツ=3.4円)となったが、2月以降、ほぼ前年同月を下回って推移している。


● ● ● 中国正月を前にAI拡大を警戒 ● ● ●

 タイにおいては、2007年に入ってすでに3件目のAI発生が確認されている。1月中旬に北部のピンサヌローク県、1月下旬には東北部のノンカイ県で発生が確認され、2月初めに首都バンコクの北西のアントン県で3件目の発生が確認された。

 2月中旬には中国正月が始まり、人と物の移動が盛んになる時期であるので、行政当局は警戒を強めている。特に人口の集中するバンコク都では知事自らが養鶏場を視察した。


● ● ● ワクチン使用は深刻な状況に限定 ● ● ●

 各地でAIが散発する中、ワクチンの使用をめぐっては賛成派および反対派が議論してきたが、1月中旬、MOACは、AI対策委員会がワクチンの使用は深刻な状況に限り使用できるとの決定を行ったと発表した。

 それによると、AIの発生状況を、初期の発生における行政区域(district)数を基準として、その数が7倍以上になった場合を深刻な状況と定義するとし、このほかに追加的条件を満たした上でワクチンの使用が可能としている。ただし現状は監視システムが機能しており、ウイルスの拡散を防いでいるため、ワクチン使用の必要はないとしている。


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