欧州委、2020年までに再生可能エネルギーのシェアを20%とする目標を設定


欧州委、エネルギー分野全体での新たな政策パッケージを提案

 欧州委員会は1月10日、地球温暖化防止およびEUのエネルギー確保や競争の促進を目的としたエネルギー分野全体での新たな政策パッケージを提案した。この提案では、温室効果ガス排出および再生可能エネルギーのシェアの目標値を設定するとともに、域内のエネルギー確保に効果のある規則を策定することとしている。農業分野が関係する再生可能エネルギーについては、2020年までにエネルギー全体の20%のシェアまでこれを引き上げることを目標としている。また併せて、同年までに、輸送に利用される燃料の最低10%をバイオ燃料由来のものとすることを目標に掲げている。

 EUでは、これまで、2010年までに再生可能エネルギーのシェアの目標を12%と設定していたが、2010年までに、同シェアは10%を超えることが見込まれないため、今回、確実に実現できる目標値と期間を再設定した。欧州委員会は、この目標の実現のために長期的な再生可能エネルギー指針(Roadmap)を発表し、本年中には、関係規則を提案する予定となっている。また、加盟国は、これに関する独自の行動計画を作成することとなっている。


新たに30万人の雇用を創出

 欧州委員会のフィッシャー・ボエル委員(農業・農村開発担当)は同日、今回の提案は農業分野にとって、「大変良いニュースである」と歓迎のコメントを発表している。このコメントの中で同委員は、「バイオエネルギーの生産が軌道に乗ってきた場合、EU全域で新たに30万人の雇用が創出できる。これは特に農村地域においてである。」とし、これは、EUの農村開発政策に基づき、欧州委員会が各加盟国にバイオエネルギー対策を促進しているためとしている。また、共通農業政策(CAP)では、後述のようにエネルギー穀物の生産を奨励しており、「農家は種をまこう!」と生産者にエネルギー穀物の生産を促している。


CAP改革でエネルギー穀物への助成が新設

 2003年のCAP改革において、バイオエタノールやバイオディーゼルなどのバイオ燃料および電力や熱エネルギーとして利用できるバイオマスの原料となる穀物の生産に対する助成を新設している。これは、規則の条件に従った農地にエネルギー穀物をは種した場合、面積に応じ、年間1ヘクタール当たり、45ユーロ(約7千2百円:1ユーロ=159円)を支払うものである。

 助成の受給対象となる生産農家は、エネルギー生産業者との契約によりエネルギー穀物を生産する場合に限られる。なお、直接支払いの受給の条件として設定している休耕地(セットアサイド)は、一定期間農地を利用できないが、エネルギー穀物生産にあっては、これは免除されることとなっている。

 なお、EUではエネルギー穀物の生産を促進するため、2007年1月より、本助成の対象をこれまでの17カ国から、2007年1月に新規加盟したブルガリア、ルーマニアを含むすべての加盟国へと拡大し、また、EU全体で対象となる面積を150万ヘクタールから200万ヘクタールに拡大することとした。


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