ブラジル、家族農業経営に対して価格保証を開始


家族農業経営に対して損失補てんを実施

 ブラジル農地開発省は2006年10月17日、農畜産物の価格下落による損失と銀行債務の増大を避けるための家族農業価格保証プログラム(PGPAF)を発表した。しかしながら、昨年10月の発表時点では、国家通貨審議会(CMN)における審議が済んでいなかったため、発表は時期尚早との意見もあった。その後、昨年12月21日にPGPAFはCMNに承認され、大統領令第5996(2006年12月20日付け)によりPGPAFの具体的内容も明らかにされた。

 PGPAFは、農畜産物の市場価格が生産費を下回る場合、市場価格と生産費の差額を補助し、家族農業経営(ブラジル南部では15〜20ヘクタール以下、ブラジル北部では100ヘクタール以下の農地で農畜産物の生産を行う経営)に損失が発生することを防ぐことを目的としている。


生産費と市場価格の差の損失を補てん

 PGPAFの内容は以下の通りである。

 (1)連邦政府は、毎年定められる保証価格(2006/07年の保証価格は、2月の市場価格を基に定められ3月以降に発表される予定)と市場価格との差額を補てんすること

 (2)管理委員会は、関係各省から構成されること

 (3)管理委員会は、CMNに諮るための対象品目の家族農業経営における生産費の算出方法、市場価格の算出方法、保証価格を提案すること

 (4)国家食糧供給公社(CONAB)は、家族農業経営における生産費および市場価格の調査を行うこと

 (5)CMNは、対象品目、保証価格について審議を行うこと

 なお、PGPAFの対象となる家族農業経営の費用負担は発生しない。


家族農業経営の収益の安定化が目的

 今年度の対象品目はトウモロコシ、フェイジョン、マンジョカ、米、大豆、牛乳であるが、これら6品目で家族農業経営の生産物の8割近くを占めるものとみられている。また、来年度以降、対象品目の追加検討も行われることとなっている。

 PGPAFを発表したカッセル農地開発大臣は「従来、生産物の30%以上に被害を与えた自然災害による補償は、家族農業保険によって行われてきたが、価格下落による補償は行われていなかった。価格下落は農畜産物の国際価格や為替変動など家族農業経営の手の届かない問題であり、連邦政府による支援を必要とする問題でもあった。PGPAFは家族農業経営の収益の安定を図ることを目的とし、農業生産の多様化、ブラジル農村地帯における生産の継続と拡大を促進することにある」と述べている。


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