牛以外の家畜でも個体識別制度の整備進む ● 豪 州


QLD州で2007年1月、羊のNLIS義務化を開始、その他の州では2009年1月の予定

 豪州における牛の個体識別制度(NLIS)は2005年7月に義務化されているが、牛以外の家畜についても個体識別制度の整備が進められている。

 羊およびヤギの個体識別については、市場アクセスの改善、疾病および化学物質の残留といった問題に適切に対応することを目的として、2004年の第1次産業大臣会議で国家的な統一制度の導入が決議された。この制度の導入は州および地域ごとに取り組みが行われているが、クイーンズランド(QLD)州では2007年1月1日、他の州および地域に先がけ、農場から出荷されるすべての羊について、NLISに基づく耳標の装着および出荷証明書(NVD)による家畜の移動履歴の管理を義務化した。QLD州以外の州および地域におけるNLIS導入は、2009年1月1日から義務化される予定となっている。


耳標およびNVDで家畜群の移動履歴を管理

 QLD州における羊の個体識別は、まず、2005年1月1日に羊を飼養しているすべての農場の登録を義務化した。その後、2006年1月1日にNLISの導入を開始し、2006年1月1日以降生まれた羊については、出生農場からほかの農場に移動する前に耳標装着し個体識別をしなければならなくなった。そして、2007年1月1日には、2006年1月1日以前に生まれたすべての個体について、同様の措置が義務付けられることとなった。

 羊のNLISは、一頭ごとではなく群単位での識別を行っている。このため、個体に装着される耳標は、NLISで定められた規格のものであって、農場の登録番号およびNLISのロゴマークのみが記載されている。ただし、生産者からの要望に応じて、そのほかの追加情報を記載できることとなっている。また、政府は、視覚で羊の生まれた年を判定しやすくするため、生年ごとに特定の耳標の色を提示し、生産者に対しそれに従った運用を指導している。

 また、羊のNVDは、牛のように電子化されておらず書類で管理される。なお、羊のNVDについては、5年間保管が義務付けられる。


豚については2007年1月、個体識別制度の完全実施を開始

 豚の個体識別制度は、業界団体であるオーストラリア・ポーク・リミテッド(APL)が中心となって2006年7月に導入が開始され、2007年1月1日から完全実施に移行した(本誌通巻第731号参照)。

 豪州検疫検査局(AQIS)は、この個体識別制度の全面実施時期と合わせて、輸出用のすべての豚肉および内臓について、ピッグ・パスと呼ばれるNVDに業界で定めた品質保証制度の証明の添付を義務付けた。その結果、この要件を満たさない豚肉および内臓については、輸出することができなくなった。なお、豪州における豚肉の輸出比率は、全体の約16%を占めている。

 一方、国内消費向け豚肉および内臓については、生産者がこの制度に加入しない場合、生産者は食肉処理施設に出荷する際に追加費用を支払わなければならないこととなっている。


養豚生産者の制度加入は全体の約半数

 APLでは、個体識別制度の事務の簡素化によりNLISの普及を図るため、これまで書類で管理していたNVDを電子化した、ピッグ・パスNVDの導入などを予定している。

 しかしながら、生産者にとっては、こういった業界の定めた制度に対応するためのコスト負担増や制度加入に伴う収益増が期待薄であることから、制度への加入について否定的な見解もみられている。

 このため、豪州における豚生産農家戸数は2千戸弱であるが、この制度への加入者は、全体のほぼ半数の939戸にとどまっている。


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