2006年以降の生体牛輸出、増加傾向で推移の見込み


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2006年は前年比9.5%増の62万7千頭の予測 ● ● ●

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が2007年2月初旬に公表した「2007 Industry Projections」によると、2006年(1〜11月をベースとした暫定値)における豪州の生体牛輸出頭数は、前年比9.5%増の62万7千頭とかなりの程度増加する見込みである。

 近年の豪州の生体牛輸出は、史上最高となった2002年の97万2千頭から、豪ドル高の進展や原油高による輸送コストの上昇、外国産牛肉との競合の激化などで2003年以降は連続して減少していたが、2006年は4年ぶりに増加に転ずる見込みとなった。

仕向け先別生体牛輸出頭数の推移
資料:MLA
注:2006年は暫定値、2007年は予測値


● ● ● インドネシアをはじめ、上位3カ国向けがいずれも増加 ● ● ●

 2006年の輸出予測を仕向け先別にみると、最も輸出頭数が多いインドネシア向けは、前年比9.2%増の38万頭(全体の60.6%)とかなりの程度増加する見込みである。MLAはこの理由として、同国の経済伸長および豪ドルに対するルピア高が続いていることから、同国のフィードロット産業が豪州産肥育素牛の導入意欲を高めていることを挙げている。第二位の中東およびアフリカ向けは、主に原油高による経済の活性化により同47.9%増の12万頭(同19.1%)と、また、第三位のマレーシア向けも同63.1%増の5万8千頭とそれぞれ大幅に増加する見込みである。


● ● ● 力強い海外需要を背景として、2007年は前年比6.1%増の予測 ● ● ●

 2007年も、豪州産生体牛に対する力強い海外需要および干ばつの影響が和らぎつつある豪州北部の牛群の再構築が進むと予測されることなどから、輸出の増加は続くとみられており、2006年より6.1%増の66万5千頭が予測されている。この大きな要因として、インドネシア政府が2007年1月にそれまで生体牛輸入に掛けていた10%の付加価値税を撤廃するとしていることが挙げられ、2007年の同国向けは前年比6.6%増の40万5千頭になると予想されている。

 なお、中国は国内の酪農業を強化するため豪州から乳用雌牛を導入してきたが、2006年の輸入は前年比78.1%減の7千頭と大幅に縮小した。しかし、2007年は前年の約2倍の1万5千頭と再び大幅な増加が予測されている。2006年に中国上海で開催された国際酪農連盟世界酪農サミットでは、近年は中国が世界の生乳生産をけん引しつつあることが紹介されたが、今後中国は国内酪農業の発展度合いを見ながら乳用種の導入を進めるとみられる。

 また、MLAでは、生体牛輸出の増加トレンドは短期的には続くとみており、2011年には80万頭に達するとしている。しかし、東南アジアや中東、アフリカ市場における安価な南米産やインド産、中国産牛肉との競合の激化により、少なくとも今後10年間に百万頭を超える生体牛輸出は望めないとしている。


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