フランスの牛肉および生体牛輸入の増加傾向続く


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 牛肉・生体牛輸入の増加傾向続く ● ● ●

  フランス関税局が公表した2006年の生体牛(子牛を含む)の輸入頭数は、前年比11.5%増の24万2千頭とかなりの程度増加した。また、牛肉(子牛肉を含む)輸入量も同3.0%増の31万9千トンと増加している。2005年もそれぞれ、前者が10.7%、後者が14.7%増加しており、同国の生体牛および牛肉輸入の増加傾向が続いている。


● ● ● ドイツおよびアイルランドからの牛肉輸入がかなり増加 ● ● ●

 2006年の牛肉輸入動向を国別にみると、最も輸入数量の多いオランダ産が前年比0.4%増の7万7千トンにとどまったものの、ドイツ産が同10.4%増の7万2千トンとかなりの程度増加した。ドイツは域内第二位の牛飼養国であるが、フランスと同様に牛飼養頭数は減少傾向にあることから、今後、同国からの輸入量は減少していく可能性もある。また、アイルランド産は前年の伸び率と同水準の8.1%増の4万トンとなり、順調に輸入を増やしている。

 輸入が増加している要因としては、好調な域内経済を反映して牛肉消費が増加傾向にある中、国別の生乳生産割当枠(クオータ)が一定であり1頭当たりの泌乳量の増大が続いていることから牛飼養頭数が減少していることが挙げられる。また、2003年の共通農業政策(CAP)改革による生産と切り離した生産者単位の直接支払い(デカップリング)の導入により、収入が安定する中で牛の飼養頭数を減らす、または牛飼養をやめる農家が増えていることも原因の一つとされる。

フランスの生体牛(子牛含む)輸入動向


フランスの牛肉(子牛肉含む)輸入動向
資料:フランス関税局、欧州統計局


● ● ● 生体牛輸出は前年比2.7%減少 ● ● ●

 一方、2006年のフランスからの生体牛輸出頭数は、全体の8割を占めるイタリア向けが前年比2.1%増加したものの、スペイン向けが大幅に減少したことが影響して全体では2.7%減少した。イタリア向けが増加したのは、域内で2006年に顕在化した鳥インフルエンザへの懸念から、同国の消費者の食肉需要が鶏肉から牛肉へ一部シフトしたためとされている。なお、同国では生体牛(300キログラム以上の雄牛)輸入の85%がフランス産となっている。

フランスの生体牛(子牛含む)輸出動向


フランスの牛肉(子牛肉含む)輸出動向
資料:フランス関税局、欧州統計局



元のページに戻る