需要増で、粉乳類の輸出はさらに活発化


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 脱脂粉乳の輸出量拡大が、乳製品輸出をけん引 ● ● ●


 米国農務省海外農業サービス局(FAS/USDA)によると、2006年の脱脂粉乳輸出量は、前年比2.0%増の29万3千トン、ホエイ輸出量は同25.4%増の32万4千トンと大幅に増加した。このような好調な粉乳類の輸出量を背景に、2006年の脱脂粉乳の輸出額は同5.3%増の6億50万ドル(715億円:1ドル=119円)と過去最高の6億万ドル台を記録した。ホエイ製品(液状のホエイを含む)は、同52.54%増の2億8,807万ドル(343億円)となった。

 主要乳製品の輸出額は2003年以降4年連続で増加しているが、過去10年間の輸出額の推移を見ると、バター、チーズの輸出の割合は縮小しているのに対し、脱脂粉乳の輸出は東南アジア諸国での経済成長に伴い拡大している。

主要乳製品の輸出額割合の推移
資料:FAS/USDA


● ● ● 2007年も粉乳類への需要は継続の見込み ● ● ●

 2006年の脱脂粉乳の輸出量を仕向け先別に見ると、インドネシア、フィリピン、マレーシアなどの東南アジア向けが好調に推移した。一方、輸出第1位のメキシコは、前年比38.2%減の6万8千トンと大幅な減少となったが、依然として高いシェア(23.1%)を維持している。USDAによると、メキシコやアルジェリアでは、給食プログラムとして脱脂粉乳などが使用されていることおよび、オイルマネーにより経済が好況なことなどがその背景にある。ホエイについては、中国を除くすべての国で輸出量が軒並み増加し、特に、メキシコとカナダでは、それぞれ同60.9%増、同38.6%増と増加した。

 なお、USDAは、豪州の生乳生産は干ばつの影響から回復するのに時間がかかることや、EUでは付加価値の高いチーズへ生乳が仕向けられる割合が高まる見込みなどから、米国産粉乳への国際的需要は今後も継続されると予測している。

脱脂粉乳・ホエイの国別輸出量
資料:FAS
注:液状のホエイは含まない


● ● ● 国内外の需要増で、価格も上昇 ● ● ●

 脱脂粉乳、ホエイは国内外の需要増から、脱脂粉乳の卸売価格は2006年10月以降上昇しており、2007年3月には前年同月比65.8%高のポンド当たり139.4セント(キログラム当たり366円)まで高騰している。また、ホエイ卸売価格は、2005年7月から上昇の一途をたどっており、2007年3月は同143.3%高のポンド当たり77.7セント(同204円)となった。

脱脂粉乳とホエイの卸売価格の推移
資料:USDA「Dairy Market News」



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