charset=x-sjis"> 畜産の情報−トピックス−2007年5月 月報海外編

アルゼンチン、乳製品向け輸出税の制度を改定


国内酪農経営を対象とした補償を実施

 アルゼンチン政府は、「国内市場向け乳製品価格安定化計画」を定めた経済生産省決議第61/2007号(2月8日付け)を官報に公告した。これは乳製品の輸出価格の上昇が国内価格に影響を与えずに、国内に安定供給を図ることを目的に、1月4日に政府と民間部門の間で締結された協定により創設された乳製品基金の具体的内容を定めたものである。同決議によると、本計画の対象となるのは、国家農牧取引監督機構(ONCCA)が別に定める要件を満たす酪農経営であって乳業メーカーと政府の間で取り決められる国内価格の基準で生乳を販売する者である。酪農経営は生乳1リットルにつき一定の補償額を乳業メーカーを通じて受けることができるが、今後、同計画を所管する農牧水産漁業庁(SAGPyA)により、補償額、支払い方法およびその期間が決定されるとしている。


粉乳の輸出税の算出方法を変更

 この基金の原資となるのが粉乳(注)の輸出税であるが、同決議で制度が改定されている。輸出税はこれまで輸出額(FOB価格)の10%であったが、これを輸出額の5%を最低とし、輸出額が政府の定める基準価格(現時点では粉乳1トン当たり2,100米ドル(249,900円:1米ドル=119円))を超過した場合、輸出税の割合が増加する算定式を定めている。なお、外国政府機関との間で取り決められた長期貸し付けの弁済の目的で輸出される商品に対しては輸出額の変動にかかわらず5%が適用される。また、FOB価格が基準価格を下回る場合も輸出額の5%となる。基準価格はSAGPyAにより15日ごとに設定され、関税当局に通知される。この措置は官報掲載の翌日から発効し、12月31日までに完結する取り引きについて有効となっている。

 2002年3月に輸出税が導入された際、乳製品については5%が賦課されたが、国内で進行するインフレを抑制する対策の一つとして、乳製品の国内供給量を増加させるため、2005年7月に輸出税の引き上げを行った。これにより、チーズ、バターなどの輸出税は10%、粉乳は15%に設定された。その後、国内の価格が安定したとして、2006年8月にチーズなどの輸出税は5%に、粉乳は10%に引き下げられていた。

注:対象となるのは、メルコスル共通関税番号(N.C.M)の以下の品目:0402.10.10、0402.10.90、0402.21.10、0402.21.20、0402.21.30、0402.29.10、0402.29.20、0402.29.30


輸出額の算出方法について

 粉乳の輸出価格が1トン当たり2,100米ドル(25万円:1米ドル=119円)を超過した場合について、当局に問い合わせたところ、具体的な算出方法は以下の通りであった。

 粉乳の輸出税は「輸出価格×輸出総量×(1−(1/(1+D+B)))」から算出され、追加関税率Dは「[輸出価格/(1+B)−V]/V]から算出される。現在、基本輸出税率Bは5%、基準価格Vは2,100米ドルと定められている。

 例えば、1トン当たり2,800米ドル(33万3千円)(現在の一般的な輸出価格)で10トン輸出した場合、

D=[2,800米ドル/(1+0.05)−2,100米ドル]/2,100米ドル=0.27
輸出税=2,800米ドル×10トン×(1−(1/(1+0.05+0.27)))=6,787米ドル

と計算されることから、現在の粉乳の輸出税率は30%台で推移していると見込まれる。


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