クオータ品目に対する独占輸出権の見直しを開始(NZ)


フォンテラ社の独占輸出権は廃止の方向

 ニュージーランド(NZ)政府のアンダートン農相は2月26日、現在、フォンテラ社のみに与えられているクオータ品目の乳製品独占輸出権について、廃止を含めた協議を開始すると発表した。乳製品の独占輸出権は、輸入国側が関税割当てなどの方法で特定の乳製品の輸入を管理している品目(クオータ品目)について、NZ政府がフォンテラのみに与えているもの。同農相は今回の発表に際し、政府内部では、すでに主要な酪農生産者との事前協議をしているとした上で、いくつかの方針案について酪農産業に携わる者から意見を聞く段階に入ったとしている。

 NZでは、2001年のフォンテラ社設立に際し、それまで乳製品の独占輸出権を有していたNZDB(ニュージーランド・デイリー・ボード)の機能を廃止したが、その際に制定された法律(酪農産業再編法:DIRA)により、クオータ品目については、6年間にわたりフォンテラ社のみに独占輸出権が与えられている。主なクオータ品目としては、カナダ向けのバター(2007年7月末まで)、米国向けのチェダーおよび低脂肪チーズ(2008年12月末まで)、EU向けのバター、チェダー・チーズ(2007年12月から段階的に削減し、2010年12月末まで)、日本向けのチーズなど(2010年3月末まで)となっている。


独占輸出権は分割、日本向けなどは廃止との方針案

 クオータ品目の独占輸出権については、2007年6月末から順次、終了し、最終的には2010年12月末ですべてのものが終了となる。このため、NZ政府は、早急に法改正を含め、今後の対応が迫られていた。

 今回、NZ政府が示した方針案としては、(1)今年中に終了するものを除き複数の乳業に対して輸出権を配分、(2)すべての輸出権を廃止する、という二つの案になっている。(1)については、過去の輸出実績、市場占有率などを参考に行うとしている。(2)については、実際のすべての廃止は困難とみており、(1)案を主体に、日本向け輸出分など特定のクオータ品目のみ廃止の対象とする考えである。

 ただ、実際、NZ生乳生産量の95%以上を取り扱うフォンテラ社の乳製品生産、輸出力は強大であり、また、すでに輸出国内に独自の販売網を構築していることなどから、そのほかの乳業がどの程度割り込んでいけるのかは不透明な状況と言える。

 NZ政府が示した方針案については、3月26日までに関係者からの意見募集が行われ、実質的には廃止に向けての作業が進められることになる。


元のページに戻る