小麦、主要生産国の気候変動などで価格は急騰


◇絵でみる需給動向◇

● ● ● 小麦価格は急騰 ● ● ●

 米国農務省(USDA)が9月に公表した世界の穀物市場と貿易(Grain:World Markets and Trade)によると、主要な小麦生産国の気候変動などで、生産量、輸出量が減少したことから小麦価格が急騰している。米国における9月の小麦生産者価格は1ブッシェル当たり7.16ドル(約831円:1ドル=116円)と、12年ぶりの記録的な高値となった。

米国における主要穀物の生産者価格


● ● ● 干ばつ、豪雨および寒波などで主要な小麦生産国の生産量は減少 ● ● ●

 主要な小麦生産国における2007/08年度の生産予測を見ると、欧州は南部地域を中心として熱波による厳しい干ばつに、北部地域では豪雨による局地的な洪水に見舞われており、EU−27カ国の小麦生産量は、前年度を2.4%下回ると見込まれている。豪州では、2年続きの干ばつとなる。昨年度の「百年に一度」と形容された大規模な干ばつには至らないが、今年8〜9月の降水量不足から、小麦生産量は2002/03年度の干ばつ時に次ぐ低い水準になるとみられている。豪州農業資源経済局は、本年6月に発表した2007/08年度の小麦生産予測を9月に見直し、前回の見通しを31.2%下回る大幅な下方修正をしている。これは1,000万トンを割り込んだ昨年度の小麦生産量を上回るものの、干ばつ前の2005/06年度の小麦生産量を39.0%下回る。カナダは、広範囲にわたり熱波による乾燥した天候から著しく単収が減少しており、2007/08年度の小麦生産量は、前年度を19.7%下回ると見積もられている。また、アルゼンチンは厳しい寒波から減産となり、2007/08年度の小麦生産量は、前年度を7.9%下回ると予測されている。

小麦の生産量、輸出量及および期末在庫について


● ● ● 世界の小麦期末在庫は30年ぶりの低水準 ● ● ●

 世界全体の2007/08年度の小麦期末在庫は、前年度を10.2%下回り、1977/78年度以来30年ぶりの低水準と予測されている。

 小麦の価格は高水準であるが、エジプト、EU−27カ国、イエメンおよびイラクなどの輸入国・地域は、価格の上昇を見越して米国からの買い付けに拍車がかかっており、小麦の国際的な需要は衰えを見せていない。

 USDAによると、価格急騰の要因は次のとおりである。

 (1)小麦の主要な輸出国・地域であるEU−27カ国、カナダおよびウクライナからの供給量が減少すると見込まれること

 (2)アルゼンチンと豪州において、平年並みの小麦生産量を確保できるか懸念が生じていること

 (3)世界第4位の小麦輸出国であるロシアが、国内供給を確保し価格の上昇を抑えるため、輸出を制限するのではないかとの観測が流れていること


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