2011年までのNZ農畜産物価格、おおむね好調に推移


生乳販売価格は下降傾向となるものの、依然、高水準を維持

 ニュージーランド(NZ)農林省は8月、2007年のNZにおける農畜産業と林業の現状および2011年までの見通しを公表した。これによると、2008〜11年の4年間の農畜産物価格および農家収入は、今年までの4年間と比較して良好に推移すると見ている。

 乳製品については、今後、NZのほかアルゼンチン、ウルグアイ、ブラジルおよびウクライナといった国からの輸出量が増加する一方、需要の増加している開発途上国での国内生乳生産が増加する。このため、著しく高水準にある現在の乳製品国際価格は、今後、下降傾向で推移するとしている。NZにおける2011年までの生乳販売価格(乳固形分ベース)は、キログラム当たり5.04〜5.50NZドル(423〜462円:1NZドル=89円)で、依然として2007年までの価格を上回る水準を維持すると予測している。

 NZにおける2007年3月までの年間生乳生産量(乳固形分ベース)は、前年比で3.5%増加した。これは、搾乳頭数のわずかな増加、良好な気象条件および補助飼料として輸入されたヤシの副産物(パーム・カーネル)の増加によるものである。今後、2011年までの生乳生産量は、年2.3%ずつ増加し、最近5年間の増加率を上回るとしている。これは、雌牛飼養頭数の増加および搾乳牛1頭当たりの生乳生産量が増加するためである。

乳用雌牛頭数などの推移


牛肉価格は下降傾向で推移するものの、農家収益は改善

 NZ産牛肉の輸出価格は、現在、高水準の状況にある。これは、最大の輸出先である米国において、2004年以降牛群再構築が進んだことで経産牛と畜頭数が減少し、NZ産加工用牛肉の需要が増加したためである。2011年までの輸出価格は、米国向けが依然として高水準を維持するものの、北アジア向け牛肉価格が下落することから、全体として徐々に下落するとしている。

 2007年6月までの年間の肉牛生産者販売価格は、韓国および日本向けが好調であったことから前年を上回った。2008年には、加工用および高品質(プライム)肉牛ともに下落するものの、高水準にあるNZドル高が緩和すると仮定した上で、2009年以降は上昇に転じると予測している。

 NZの2007年3月末までの年間牛肉生産量は、前年を2%上回った。2008〜09年の牛肉生産量は増加するものの、2010年以降は、高品質牛肉価格の下落により減少すると見ている。

肉牛農家販売価格等の推移


ラム価格は回復基調となるものの、生産量は減少

 2007年6月までの年間のラム生産者販売価格(インフレ調整後)は、1996年以降最低水準であった。これは、EUにおけると畜頭数が増加したためである。2007年後半以降は、EUにおいて雌羊頭数が減少することでラムと畜頭数が減少し、NZ産ラム需要が増加することから、生産者販売価格は上昇に転じると見ている。

 2007年3月までの年間のラム生産量は、前年をわずかに上回る。しかしながら、2008〜11年の年間ラム生産量は、羊経営から酪農経営への転換が進むことから、減少傾向で推移すると見ている。

肉羊農家販売価格等の推移


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