2007年の域内の豚肉生産頭数は、前年に引き続き微増傾向


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2007年のEU25カ国、前年並みの2億4,796万頭の見込み ● ● ●

 欧州委員会は今般、2007年におけるEUの肉豚生産頭数見込みを公表した。それによると、EU25カ国における肉豚生産頭数は、前年比0.8%増の2億4,796万頭となり、同1.6%増加した前年に引き続き域内の肉豚生産頭数の微増傾向が続いていることが明らかとなった。

 2007年第1四半期のEU25カ国の豚肉輸出量は、長引くユーロ高の影響や鳥インフルエンザへの懸念による鶏肉からの代替需要が縮小したことなどから前年同月比12.0%減の42万3千トンとかなり大きく減少した。

EU25カ国の豚肉生産頭数の推移


● ● ● 上位3カ国が軒並み上昇 ● ● ●

 肉豚の生産動向を国別に見ると、域内で最大の生産国であるドイツが前年比3.1%増の4,405万頭、第2位のスペインが同0.8%増の3,959万頭、次いでデンマークが同3.9%増の2,660万頭と、域内の好調な経済を背景とした豚肉の需要増により上位3カ国が軒並み増加した。なお、従来は第4位の養豚国であったフランスの生産頭数が、2年連続で減少していることもあり、2007年には域内最大の豚肉の輸出国であるデンマークがそれを追い抜き第3位の生産国になると予測されている。

 また、従来の加盟国のEU15が同1.1%増の2億960万頭と2年連続で前年を上回ったのに対し、2004年5月にEUに加盟したEU10は同0.4%減の3,836万頭と昨年の同3.8%増から一転して減少している。EU10の生産頭数の6割強をポーランドが占めるが、2007年の同国の生産頭数は同1.6%減の2,142万頭と昨年の同8.2%増から伸び率は大きく後退した。同国では小規模養豚農家が大宗を占めるため、飼料価格の高騰などから生産頭数が減少したものと思われる。


● ● ● 2008年には生産頭数の減少予測も ● ● ●

 欧州委員会は、こうした肉豚の生産増により、2007年当初から肥育豚の農家販売価格が大幅に低下していることを指摘している。2007年第1四半期の100キログラム当たりの肥育豚価格は、前年同期と比較して10ユーロ(1,650円:1ユーロ=165円)安い129ユーロ(2万1千円)とかなりの程度下落している。

 なお、欧州委員会は、将来的な見込みは不確実としながらも、微増ながら増加傾向で推移して来た肉豚生産頭数も、その反動で2008年第1四半期には減少に向かうとの見込みも示している。特に、これまで域内の肉豚生産をけん引してきたデンマーク、ドイツ、オランダおよびポーランドにおいて、そうした傾向が顕著に現れるとも予想している。


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