豚肉生産量の増加で、卸売価格は下落


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 穀物相場の安定で、豚肉生産量は安定的に推移 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると、2007年1〜8月の豚肉生産量は前年同期比2.5%増の635万5千トンと堅調に推移した。これは、と畜頭数が前年同期比2.8%増の6,994万頭と増加したことに加え、最近の穀物相場が安定してきたことにより、2007年1月以降一貫して前年同月を下回って推移していた1頭当たりの枝肉重量が、前年とほぼ同水準まで回復したこともその背景にあるとしている。

 トウモロコシ価格(シカゴ相場、先物、期近価格)は、2006年9月以降急激に値上がりを始め、2007年2月には1ブッシェル当たり425セント(1トン当たり19,600円:1ドル=117円)のピークを迎えたが、8月には1ブッシェル当たり324セント(同15,000円)まで下落するなど、2007年初めに比べると落ち着きを取り戻しつつある。このようなことから、2007年8月の1頭当たりの枝肉重量は、前年同月比0.5%増の89.4キログラムとなった。なお、2007年通年の豚肉生産量は、前年比2.8%増の982万トンと、2001年以降7年連続の増加になることが予測されている。


● ● ● 2007年下半期の卸売価格は低調に推移 ● ● ●

 USDAによると、2007年8月のカットアウトバリューは、前年同期比3.8%安の100ポンド当たり72.0ドル(1キログラム当たり186円)と3カ月連続で前年同月を下回った。部位別の価格を見ても、ロースが同3.3%高の113.0ドル(同291円)となったのを除き、バラが同5.2%安の86.0ドル(同222円)、ももが同14.3%安の66.0ドル(170円)とかなりの程度下落した。2007年上半期は豚肉以外の食肉生産量が減少し高値で推移したことから、外食産業においても豚肉需要が高まり、卸売価格は安定していたが、2007年7月以降豚肉や鶏肉の生産量が上向いたことで卸売価格は下げ基調へと転じている。

 特に、もも肉の下落が著しく、USDAによるとももの仕向け量が多いメキシコ、ロシアへの輸出が2007年以降鈍化していることが要因の一つとされる。メキシコは経済の停滞が、またロシアについてはブラジル産の豚肉輸入の再開により、米国産豚肉の輸出量が減少しているとされている。

 なお、2007年上半期の米国産豚肉のメキシコ向け輸出量は、前年同期比31.2%減の10万トンとかなりの程度減少していることから、ももの卸売価格はしばらく軟調で推移することが予測される。

豚肉卸売価格の推移


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