米国環境保護庁、大規模畜産経営体に対する環境規制強化を先延ばし


新規大規模畜産経営体の経営許可取得などの最終期限を19カ月延長

 米国環境保護庁(EPA)は7月18日、大規模畜産経営体(Concentrated Animal Feeding Operation:CAFO)に対する環境規制強化に関する規則の適用期限を、本年7月31日から2009年2月27日へ先延ばしすることを公表した。

 今回の措置は、2003年2月の最終改正規則により新たにCAFOと定義付けられた畜産経営体に対する、全国公害排出排除システム(NPDES)に基づく経営許可の取得、および同改正により義務付けられたCAFOによる栄養分管理計画(NMPs)の作成・実施に係る最終期限を延長するものである。

 米国では、畜産経営体による水質汚染の影響は、水質保全法(CWA)に基づくNPDESの経営許可制度などにより規制されている。一定の基準に達する畜産経営体(畜種別に見ると、(1)55ポンド(25kg)以上の豚2,500頭以上、(2)肥育牛1,000頭以上、(3)乳用成牛700頭以上、(4)採卵鶏およびブロイラー30,000羽以上など)はCAFOと定義付けられ、NPDESによる許可が必要とされている。

 なお、今回の適用期限の延長は、7月24日付け官報に掲載され、同日付で適用となった。


EPA、CAFO規制強化に関する最終規則は検討中

 EPAは2003年2月、CAFOに対する規制強化に関する改正規則を公表した。これにより、従来認められていた例外規定が廃止され、すべてのCAFOが規制対象とされたほか、NPDESの許可要件として、農地へのたい肥の施用や、汚水処理方法に関する栄養分管理計画(NMPs)の作成・実施が新たに義務付けられた。

 一方、この規則改正をめぐっては、ファーム・ビューロー(AFBF)、全国豚肉生産者協議会(NPPC)、全国鶏肉協議会(NCC)など農業・畜産団体や、水資源管理連合(Water Keeper Alliance)、自然資源保護協議会(NRDC)など環境団体が2003年10月以降、それぞれの立場により、各州の巡回控訴裁判所に同規則の司法審査の申立てを行うなど、司法上の争いが展開された。

 第2巡回控訴裁は2005年2月28日、それぞれの申立てをとりまとめた結果、すべてのCAFOに対する許可の取得や、NMPs実施の必要性を認めるなど、EPAの最終規則の大部分を支持する審査結果を公表した。一方、この審査結果では、病原菌の排水ガイドラインの見直しや水質管理に基づく排出制限規定の明確化など、一部規定については問題点も指摘された。EPAは2006年6月30日、この審査結果などに対応するため、改正案を公表したが、ここでは規則改正の状況説明のみにとどまり最終規則の公表には至っていない。

 EPAは、今回の期限延長の公表に当たり、「今回の措置は、EPAが、裁判所の決定に関する幅広いパブリックコメントに応じる時間を設けるとともに、各州などに対しては、最終規則が決定されるまでの間、新たな必要条件に対応するための時間を与えることになる」としている。


NCBA、栄養分管理計画の算定方法の検討などを要請

 米国の肉用牛繁殖農家や肥育業者を会員とする団体である全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、CAFOに対する環境規制に関し、自身のHP上で見解を示している。これによると、NCBAは、米国の水路を保護するための適切な措置の実施については支持する一方、EPAに対しては、NPDESによる許可取得に係る費用負担など、2005年2月の控訴裁の判決に対する多くの未解決の問題を抱えていると指摘している。

 また、NPDES許可の取得義務については、不測の排出事態が生じた時などの法的責任から自身を保護するためにも、要件の制限の有無にかかわらず、大規模畜産経営体すべてに対し許可証の取得を奨励しているとしている。

 さらに、NMPsの実施については、特定地域への肥料利用率の算定に関し、いかなる期間においても栄養管理の方法は変化し、また、気象条件、市場動向や経済動向などにも左右されやすいことから、将来的な利用率や利用日の断定は不可能であるとし、EPAに対して、特定期間における適切な肥料利用率の算定方法の検討を要請しているとしている。


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