穀物関係団体、2007年のEUの穀物生産量を予測


 欧州穀物・油糧作物輸出入組合(COCERAL)は、2007年のEU27カ国の穀物および油糧作物の生産予測を発表した。


穀物生産量、前年をやや上回る

 2007年のEU全体の穀物生産量は、局地的な干ばつや大雨など天候の問題は起きているが、前年比4.6%増の2億7,055万トンと前年をやや上回る予測となっている。また、同年の作付面積は同1.4%増の5,646万ヘクタール、1ヘクタール当たりの平均収穫量は同3.2%増の4.79トンとともに前年を上回る予測となっている。バイオ燃料需要の増加により、その原料として生産動向が注目されるトウモロコシについては、1ヘクタール当たりの平均収穫量はほぼ前年並みとしているが、作付面積が同7.4%増の859万ヘクタールとなることから、生産量は同7.1%増の5,410万トンと前年をかなりの程度上回る予測となっている。

 EUで穀物生産量の最も多いフランスを見ると、トウモロコシの生産量が同4.1%増の1,280万トン、穀物全体では同3.7%増の6,303万トンと前年を上回る予測となっている。

EUの2007年の穀物の生産予測


油糧作物も前年を上回る

 菜種や大豆などの油糧作物の生産量は、菜種の作付面積(前年比18.3%増の622万ヘクタール)の増加に伴い、油糧作物全体では前年比7.2%増の2,520万トンとなっており、バイオ燃料需要の増加を背景に穀物同様前年を上回る予測となっている。ただし、ヒマワリ生産量は同9.6%減の567万トン、大豆生産量は同16.3%減の110万トンと前年を大幅に下回る予測となっている。


農業団体は2008年の義務的休耕(セット・アサイド)率を0%と主張

 当予測では、穀物などの生産量は全体的に増加するとされているが、最近のバイオ燃料向けの需要の増加に伴い、飼料用穀物価格の上昇が懸念されている。

 この状況を踏まえ、欧州農業組織委員会/欧州農業協同組合委員会(COPA/COGECA)は、穀物需要者、特に畜産農家が直面している懸念事項として、「2006年は悪天候の影響で世界的な不作となり、併せて需要の増加により世界の在庫水準がかなり落ち込んだ。この影響は2007年も続くと考えられる。この需要の一部は米国におけるバイオエタノールの発展によるものであるが、これはほかの穀物価格にも影響を及ぼすであろう」としている。

 また、EUの遺伝子組み換え作物(GMOs)の認可の遅れにより発生する輸入植物性たんぱくの供給中断の危険性などについて飼料用穀物の確保が困難となることが考えられ、飼料部門により大きな影響を与える懸念事項として、深刻に議論すべきとしている。したがって、農相理事会は義務的休耕率について緊急に再検討し、2008年に行うヘルスチェック(制度検証)による義務的休耕制度の今後のあり方の判断を待つことなく「2008年の休耕率を0%とすべき」との主張を行った。

 このような状況の中、欧州委員会のフィッシャー・ボエル委員(農業・農村開発担当)は7月16日、EUをはじめ世界的に厳しい穀物需給の現状にかんがみ、2007年秋および2008年春に播種する耕地について、その義務的休耕率をゼロとする提案を公表した。これにより、欧州委員会の試算では、1,000〜1,700万トンの穀物増産が期待され、家畜飼料も含めたEUにおける厳しい穀物需給が改善されるものと期待される。


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